先の遠山記念館を訪問した後に、同じ設計者・室岡惣七の建物を観に行きました、9月23日。
入間市の旧石川組製糸西洋館で1921年・大正10年築(室岡は36歳)で、遠山記念館は1936年・昭和11年なので15年の開きがあります。
セセッション様式と思われるモダンな外観。
堂々とした入り口。
アール・デコっぽい扉の装飾。
最も豪華な一階食堂。天井の格子がお洒落ですね。
一階の応接室。棟梁が宮大工だったせいか、折り上げ格子天井だが不思議と違和感がないですね。
大正ロマン溢れる階段。多くのCM・PVや番組の撮影に使われるそう。
親柱の形がモダンです。手摺りは珍しい一枚板からの削り出し。
2階ホールの照明は当時のもの。
なかなかいい雰囲気。
2階の大広間。
東京玲光社の三崎彌三郎の作品と言われる「四君子(梅・蘭・竹・菊」のステンドグラス。
ただし右手の菊は地元の茶ではないかとのことです。
舞踏会が開けそう。
「旧石川組製糸西洋館は、埼玉県入間市にある西洋館で、1921年に石川組製糸の創業者である石川幾太郎(1855~1934)が、外国商人を招くための迎賓館として建てました。煉瓦調のタイル貼りの外壁と、窓を設けた変化のある屋根が特徴です。
館内は、天井や床の造形、照明器具などに、当時の最新の技術と芸術性が凝縮されています。大理石製の暖炉や一木で作られた階段の手すり、特注の調度品などは、最高級の材と職人の技術を惜しみなく使って作られています。
戦後には進駐軍に接収され、改造を受けた部分もありますが、全体的に当時の様子を良くとどめています。
設計者は、室岡惣七(むろおかそうしち 1885~1951)です。東京帝国大学(現在の東京大学)で西洋建築を学び、数々の建物の設計に携わりました。川島町の旧遠山家住宅(遠山記念館)が代表作として知られています。
室岡は、当時まだ個人の設計事務所を持っていませんでした。おそらく近隣の堀兼村(現狭山市)出身の室岡に対して、石川幾太郎が同郷のよしみで抜擢したのではないでしょうか。
西洋館は完成後の幾たびの大地震にも全く揺らぐことがありません。建物の意匠だけでなく、堅牢な構造は室岡の設計の賜物です。
なお、施工者は川越の宮大工である関根平蔵が担当しました。」 Bard(AI)より。
洋館なのに日本間もあります。
和洋折衷も大正ロマンを感じますね。
パンフレット。
まだ自分の事務所もないのに地元の大名士に抜擢され、豪華な迎賓館の設計を任されたので、さぞや力が入ったことでしょうね。
なので、和洋折衷は勿論、セセッション様式やアール・デコ様式など当時の最先端のデザインを巧く取り入れて、意欲的だが落ち着いたロマン溢れる良い建物になっています。
渋い遠山記念館の造りとは随分違っていて、同じ設計者とはちょっと判らないでしょう。
西武池袋線入間駅から徒歩10分くらいのところです。遠山記念館からはバスと電車で1時間半くらいかかります。時間は掛かりますが、同じ設計者の時を隔てた建物を見比べるのもなかなか面白いものです。
📸はSONY A7RM3、レンズはタムロン24mm/F2.8です。