国立近代美術館工芸館の展示物が金沢に移設され、3月9日にクローズするという。その最後の展示「PASSION 2020」を2月27日に観に行って来ました。メトロ半蔵門線竹橋駅から北の丸公園を通って徒歩15分くらいです。

 

なんと言ってもここは建物が美しい。

「工芸館の建物は、旧近衛師団司令部庁舎を保存活用したものです。この建物は、明治43(1910)年3月、陸軍技師田村鎮(やすし)の設計により、近衛師団司令部庁舎として建築されました。2階建煉瓦造で、正面中央の玄関部に小さな八角形の塔屋をのせ、両翼部に張り出しがある簡素なゴシック様式の建物です。丸の内や霞ヶ関の明治洋風煉瓦造の建物が急速に消滅していくなかで、官庁建築の旧規をよく残しており、日本人技術者が設計した現存する数少ない遺構として重要な文化財です。」同館HPより

 

北の丸公園から入ってくるとそのきりっとした立派さに驚く。

 

正面からみると堂々と凛々しくもある。

 

内部は意外とモダン。

 

洋館の華「階段」は優雅さえ感じる。

 

 

司令部の内部としては優しい感じ。

 

工芸館は煉瓦の外壁の中に新たにコンクリートの展示室を作ったような構造で当時のものは少ないが、入り口から階段部分と照明は残ったものだそうだ。

当時、流行りのアールヌーボー調の照明。

 

どうしても建物に目がいってしまうが、展示もなかなか。

そのポスター。

 

写真は鈴木長吉の「十二の鷹」1893年のひとつ。これらが金工とは驚き!

 

 

宮川香山 「鳩桜花図高浮彫花瓶」1871~82年。陶磁器でこの浮き彫りは凄い。

 

こういう展示もここならではだった。

 

やはりこの工芸館の収蔵品はここでした観られないものが多く貴重で、素晴らしかった。

また、建物も私の高校時代には「お化け屋敷」と言われるほど荒廃していたが、大修復して開館にこぎ着けたもの。

 

受付けの人に聞いたら展示物移転後のこの建物の使い方は未定だという。二二六事件や終戦前日「日本のいちばん長い日」の舞台となった近代史の証人的建物なので、是非公開活用をして欲しいですね。

 

レトロ建築めぐりを始めた2013年8月のブログ

「日本のいちばん長い日 - 旧近衛師団指令部庁舎」

 

*2月29日追記

新コロナウィルス対策で工芸館は2月28日をもって展示を中止し、工芸館としての活動を終了しました。

長い間、素晴らしい展示と建物を見せてくれてありがとう!

また、内外とも見学できる機会が来ることを祈念しています。

 

南西側の首都高速を渡ったところが絶好のビューポイント。

 
使ったのは Sony Zeiss 16-35mm/F4+A7 です。