久々のレトロ建築探訪、住友本家の旧俣野別邸@藤沢・神奈川県に暑さが少し和らいだ8月29日に撮りに行ってきました。俣野は地名で、藤沢駅からバスで10分くらいのところにあります。

 
これは15代目当主・住友吉左衛門(友成)のために1939年・昭和14年に建てられた別邸ですが、2009年・平成21年に不審火で残念にも消失、その後2016年・平成28年に残っていた図面により忠実に再建されたものです。
設計者はかって住友本社の営繕課に勤めていた佐野秀三。
 
80年前のものとは思えないモダンな外観。右手に入口があります。
 
入口を入ると不思議な玄関、ステンドグラスがあり、左が客用入り口、右の家族用玄関は茶室のくぐり戸のようです。
 
中に入るとモダンな空間が広がります。一階のサンルーム。
 
そして広間と食堂。今はカフェとして使われています。
 
そして、華やかな階段を上って2階へ。
 
 
この建物の顔というべき大きな半円窓のサンルーム。天気が良いと富士山や海が見えるいう贅沢さ。
 
そして夫婦寝室。今でも通用するデザインですね。奥はバスルームになっています。
 
2階の廊下はハーフティンバーの山小屋風。
 
一階の居室。
 
子供用の和室とひろびろとした廊下。気持ち良さそう。
 
ここは唯一焼け残った書庫だそうです。
 
大きな庭に出てみましょう。特異なサンルームのある外観。
 
2階建ての部分が応接・食堂などのパブリック・スペースと夫妻の生活部分、右手の平屋の部分が家族の居間と寝室などになっている。パノラマ合成。
 
広々とした大きな庭。さすがにお屋敷ですね。
 
再建されて新しいことを間引いて見ても、とても80年前のものとは思えない斬新なデザインです。和の取り入れ方は近代数寄屋の名手・吉田五十八に通ずるところがあります。今、このまま建てても快適に住めそうなのが驚きです。
昭和14年には既に日中戦争の真っ只中、物価統制が始まっていた時に、これだけのもの建てるんですからさすがに住友財閥、庶民とはかけ離れた生活だったのでしょうかね。
 
関東では住友関連の建築は珍しいのですが、三井や三菱のものとは随分違う印象でした。住友家当主は斬新な気風の人だったのかもしれません。
 
広大な敷地一体は俣野公園として整備されていて、四季折々に散歩で訪れるのが良いようです。また、来たくなるところです。
 
使ったのはフォクトレンダーUWH 12mm/F5.6 Ⅲ for E mount+A7で、最初と最後の3枚がミノルタ MC Rokkor SI 24mm/F2.8です。