今日紹介するのは大正から昭和にかけて活躍した小説家 里見弴(さとみ とん、1888~1983)が自分で設計した鎌倉の自宅で、1925年・大正15年の竣工です。

大正末のものとは見えないモダンな外観。
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玄関入り口。
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一階の右手にはサン・ルームへの出入り口がある。ほぼ建てた当時のままだという。
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「明治、大正、昭和にわたって活躍した作家里見弴は兄の有島武郎、生馬とともに、芸術家兄弟といわれています。天賦の文才は白樺派の同人達や、師泉鏡花との交流のなかで開花し、生涯にわたる創作活動から数々の名作を発表しました。
代表作には『善心悪心』『多情佛心』『極楽とんぼ』などがあります。1959年(昭和34年)文化勲章授章。1971年(昭和46年)『五代の民』で読売文学賞受賞(二度目)。」

「この建物は、大正15年作家里見弴(さとみとん)が自ら設計に関り、住んだ家です。
昭和11年に里見氏が移転した後は、米軍接収やホテルとしても使われた後、現所有者、石川氏の住宅として丁寧に住まわれ、平成6年からは市の重要景観建造物(指定第8号)に指定されています。」サローネのホームページより。

玄関を入ると広々としたロビーがある。
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右手にはシックな応接間。
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さらに右手には居心地の良さそうなサン・ルームが。
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里見は帝国ホテル(大正12年竣工)を設計したF.L.ライトに傾倒していて、大いに参考にしたという。池袋の自由学園明日館が大正11年にできているが、個人の邸宅としては愛弟子の遠藤新設計の旧近藤賢二別邸(大正14年、藤沢)がある。

これは私が2015年7月に訪れた時の記事だが、
ここかしこに似たところがある。同じ湘南ということで見に行ったのではないかと思う。

明かり取りの六角窓、これは近藤邸のものとそっくりだ。
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2階への階段、アール・デコ風でもあり、ライト風でもあり。
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二階は現所有者の石井氏のものがあるということで残念ながら非公開。
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左側をさらに奥に行くと、京都の大工につくらせたという和室がある。
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近代数寄屋というのだろうか、とても趣味が良い。
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風通しを考慮した高床式に、茅葺き屋根がある凝ったものだ。
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小説家が好きで自分で設計したというが、素人くささがない。案内してくれたここを管理している建築設計事務所の方が見ても、細部までとても良くできているそうだ。

先の旧近藤邸と見比べると面白く、ライトの香りはそこかしこにある。下見板張りの外観や内部のデザインは似ているが、ライトが良く用いた大谷石は使われていない。

趣味で設計したというレベルではなく、大正から昭和期の文人の趣向・好みを上手に実現した邸宅になっている。

震災直後の建築、とくに個人の邸宅はあまり残っていないので貴重です。建物は使われないと痛みが進んでしまいます。どのように活用していくかいろいろと問題もあるそうですが、是非永く残して欲しいものです。