リニア中央新幹線については、JR東海の工事計画に対し国が認可したのが2014年です。

その後2017年に川勝静岡県知事が大井川水問題を根拠に許可を与えず、湧水全量戻しを求めたのが今回の問題の端緒でした。

 

そもそもJR東海も国もトンネル工事で水問題を引き起こすような大規模な湧水は想定していなくて、これまで何万本とトンネルを掘ってきた経験値でもありました。

しかし川勝知事から90年前の丹奈トンネル事例を持ち出されて、100%否定できない点を突かれたのです。

 

大量湧水発生の可能性を科学的に否定できずに、JR東海は対応に苦慮しました。

 

しかし2022年4月にJR東海が湧水流出分を田代ダムでの取水制限で対応すると提案すると川勝知事は迷走を始めます。

 

田代ダム案へのいちゃもん、山梨県側トンネル工事も止めろとか部分開業を検討しろと言った感じであらゆる手段を使って工事を遅らせることに終始し始めました。さらに水問題で劣勢がはっきりしてくると今度は掘削土置き場問題や生態系問題を持ち出して何が何でも工事着工させない抵抗を続けています。

 

しかしこういうやり方によりJR東海は多大な損害を被っているはずであり、その額は莫大なものでしょう。今は工事着工を優先して対応していると思いますが、今後川勝知事や静岡県に対し損害賠償訴訟を起こす可能性は高いのではないかと思っています。

何故なら放置すればJR東海自身が株主から追及されるからです。

 

同様な案件が沖縄県にも存在します。

2020年辺野古埋め立て工事で軟弱地盤に対し設計変更を申請した国対し、沖縄県は不許可としました。裁判で争った結果23年9月に最高裁で国の勝利で決着したのですが、沖縄県は裁判で負けたにも関わらず許可しようとはしませんでした。

 

このことに対し玉城知事と沖縄県に対し損害賠償リスクがチラついています。国が受けた損害は莫大ですから。

 

事の良し悪しは別として、日本は法治国家ですから法を逸脱した行為は許されませんし、もしそれを許せば法治の根源が揺らぐことになります。

 

1999年頃から順次地方自治法が改正されて、基本的に自治権の強化が図られました。それまで上意下達だった関係から対等に近い関係へ徐々に変わっていきました。

 

その事が影響したのでしょう、モンスター首長の誕生に繋がったのです。

今後こうした事例を抑止していくためにも、自治権乱用に対する損害賠償訴訟は行われる可能性が高いと見ます。