今までのオペレーションの中でもかなり難易度の高いものになると思われます。

 

1992年にカンボジアの地雷除去PKOから始まって以来、PKO,国際救援活動それに人道支援活動など多くの実績を積み上げてきたのですが、そのほとんどは停戦合意後に安全を確認してから実施したもので、唯一の例外が2012年からの南スーダンでのPKO活動であり、活動中に内戦に巻き込まれて「駆け付け警護」「共同防護」任務が付与される事態となったことがありました。幸いにして死傷者が発生する事態にはいたりませんでした。

 

2021年アフガンからの退避作戦では自衛隊機4機を派遣しながら15人しか救出できなかったのも、後手に回ったことと現地大使館・外務省との連携の悪さが要因でした。

 

今回の任務は自衛隊が一度も経験したことのない”戦時下の邦人救出”であり、戦闘が続いている地域に飛び込んで行って、約60人いる邦人を集めて連れて帰るというものです。

スーダン軍には戦闘機も対空砲火もあるため、撃墜される恐れも高まります。そんな中日本の岸田首相がリスクを伴う命令をだせるのか?

実はアフガンを教訓にして昨年「自衛隊法84条4項」が改正され、迅速な行動がとれる環境整備がされてはいます。

 

もう1つ真価が問われるのは、外務省在外公館の危機対処能力です。今までの事例を見るとまともに機能した例は少なく、民間人を放って自分たちだけが逃げたこともありました。アフガンからの撤退時などひどかったことを覚えています。今回も邦人60名だけでなく現地職員も対象にしてまとめ切れるのかも注目点でしょう。

 

もちろん同様の作戦は欧米諸国或いは中国も実施すると思われます。ドイツは19日に作戦を計画していましたが、空爆等が続いているため現在のところ実施できていません。

しかし4月21日から72時間の停戦合意が伝えられ、各国は状況を見極めている段階にあるのだと思います。ひょっとすると間もなく動きが出るかも知れません。

 

しかし日本は21日に1機を出発させ、残る2機は22日出発となっていて、ジブチ到着が23日以降となってしまいます。そうなると停戦期間との兼ね合いがどうなるのか?欧米各国の救出作戦のタイミングと合わせることができるのでしょうか?但しジブチにはすでにP3C哨戒機が2機いるそうなので、これを使ってやるつもりかも。

 

経験から言って、自衛隊単独での行動はまず無理でしょう。ハルツームからの脱出は欧米と連携(依存)しての作戦を念頭においていると思いますが、安全意識が強くリスクがとれない日本が彼らについていけるのかどうか?岸田首相がタイミングよく命令を出せるのかが今回のキーポイントでしょう。

 

 

アフガンでの教訓が生かされ、救出作戦が成功することを願っています。