全国知事会からより強い措置を望むとして「ロックダウン」実施を要望する声が出ています。
日本は民主主義国家の中で恐らく最も私権制限に臆病な国だと思います。戦後手探りから始まった日本の民主主義ですが民主憲法は出来たものの、当初は戦前の名残で国家権力が強く、田中内閣が金権批判で倒され、福田赳夫首相が「人の命は地球より重い」と言った頃から世論に押されて徐々に人権重視に傾斜していき、政官界に不祥事が起きるたびに国家権力が摩耗していったのです。そして今では「言葉狩り」など揚げ足を取られて簡単に辞職に追い込まれるほど弱体化してしまっています。
そんな弱い国家権力が「ロックダウン」といった強硬な措置を本当に実行できるのでしょうか?知事にしても、仮に国がロックダウン制度を整えて発令したからと言って実行するのは自分たちなのですよ。
昨年の特措法改正で命令に従わない飲食店などに罰金を科すことができるようになりましたが、結局世論の反発を受けて実行できなかったのでないですか。
自分たちでは実行できないので、”国がなんとかしてくれないか”という他力本願の本音も見えてしまいます。蔓延防止よりも緊急事態宣言、それでもダメならロックダウンにすがりたい。
どんな法律を作ってもそれをきちんと実行に移し、従わない人に強制力を発揮してあまねく平等に処置できない限り、そんな仕組みはすぐに崩壊して大恥をかくだけです。
結局知事たちが期待しているのは、ムチの仕組みではなく、お得意のアメを用意することではないのでしょうか。つまり休業要請する代わりに補償金をたっぷりはずむことを望んでいるのでしょう。