先端テックと伝統の融合「アンビエント・ウイービング」テキスタイルの誕生 | お客さまとファンが集まるビジネスデザインのヒント

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伝統工芸とテクノロジーが融合した全く新しい織物の開発。

 

美を最上位の概念に置く。

 

アンビエントは「周囲の、環境の」といった意味で、サブテーマは「環境と織物」となっている。

 

 

東京大xlabo(筧康明 研究室)、細尾(京都 西陣織)、ゾゾネクスト(ファッション企業)の3社が

 

共同で新しい体験を提供するスマートテキスタイル開発に挑むプロジェクト。

 

本展は昨年の8月に開催されたが、最近ウエブでサイトが公開された機会に投稿する。

 

会場のエントランスの様子

 

 

細尾は西陣織の枠を超えた織物を追求する伝統工芸企業であり、ルイヴィトン、ディオールなど海外ブランドに採用されている。

 

同社社長は「西陣織は世界一複雑な構造が織れ、世界最先端のテキスタイルができる」と話す。

 

 

「人と周囲の環境をつなぐ布」というコンセプトは画期的だ。

 

 東大xlaboは、工学・アート・デザインといった境界を超えたアプローチを行い、

 

「布そのものが人と周囲の環境をつなぐインターフェイスと捉え、環境を織り込み、

 

環境を意識する織物のプロトタイプを開発している」。

 

 

今回のインスタレーションではこれまでに開発した織物と、新作プロトタイプを展示、

 

それぞれの特徴を際立たせるような壁面パネルや立体物、風になびくタペストリーなどに仕上げた。

 

 

主な作品をあげる。

 

構造色インクが特定の色を反射。透過光の影は異なる色に変化する素材。

 

 

  

 

「ピラーズ」。カーボンのバーを緯糸に織り込み、端をつなげると立体形状に変化する。

 

 

 

 

目線と入射光が合うと強い色彩が浮かぶ「オプティカル・アンベイル」

 

 

 

 

温度によって色柄が変わる「ウェーブ・オブ・ウォームス」。

 

特殊な色素を和紙に塗り、スリットした物を緯糸として織り込んだ。

 

細尾の立体波紋パターンをジャカード織りし、大型の壁面パネルで展示。

 

25℃以上で青色に、以下だと黒色に変化する様子を背面ヒーターの温度変化をライブで見せる。

 

 

 

 

「ドリフティング・カラーズ」は、チューブに入った糸が染料を吸い上げ、

 

時間とともに色が変化する。インクの粒子の重さやイオンによって移動するため、

 

グラデーションや色の変化が続く。

 

 

「ドリフティング・カラーズ」。下部から染料を吸い上げ、色が変化していく。

 

 

「レイヤーズ」は偏光フィルムとポリプロピレンフィルムを緯糸に織り込んだ

 

2種類の織物で、織物が重なった時だけ透過光の屈折で色が表れる。

 

 

「ピクセルズ」は経糸に導電糸、緯糸に有機ELを塗布したフィルムで構成し、

 

特定部を交差させて電流によって発光させる。

 

点灯パターンで雨だれやチョウの飛翔イメージを表現した。

 

光る小さなモチーフの動きが素材の表面で見られて非常に面白い。

 

 

これらのテキスタイルはインテリアのような特定用途を想定してはいない。

 

まずは体感してもらうことで、舞台衣装やカーテン、家具といった

 

あらゆる使用シーンを喚起したい考え。

 

海外ラグジュアリーブランドや建築会社などが強い関心を示しており、

 

広い分野で社会実装を目指している。

 

すばらしい!

 

(会場にて撮影、開発者に聞き取り、繊研、同展サイトより引用して再編集しました)

 

次回につづく