鳥の中でもカラスがダントツに頭が良いことはよく知られていますよね。チンパンジー並みの知能があるとも言われています。カラスに悪さをした人間の顔を覚えていて後から仕返しをする事もあるそうです。


20代のクライアント、ルシアは去年モラハラ気質のある彼と別れてから鬱気味になりカウンセリングに通っていました。最近やっと痛手から立ち直り始め、鳥好きな彼女は毎日ベランダにやって来るカラスの親子に餌をあげる事で癒されていました。


ある天気の良い日、散歩に行こうとアパートを出て道路を渡り始めた途端、前方不注意の車が停止サインで止まらずルシアの方に向かって来ました。幸い大事には至らなかったものの、車はルシアのヒザに接触し、彼女はよろけながらも踏みとどまりました。ショックで呆然としているルシアに運転手の男性は車から降りもせず「大丈夫?」と声をかけただけでその場を立ち去りました。


周りにいた人が心配してかけ寄って来ましたがルシアは気が動転して言葉にならず、急いでアパートに帰ると同時にヒザが痛み出しました。その日は泣きながら氷で患部を冷やし続けましたが、ふと窓の外に目をやると例のカラスの親子が心配そうにルシアを見守っていました。



そういえばその朝家を出る時ベランダのカラス達に手を振ったので、彼らは事故を目撃していたのでしょう。その日は長いことベランダから部屋を覗き込んでルシアの様子を見守っていました。翌日痛みが和らいだルシアが窓の外を見ると何やら小さな丸い緑色の物がベランダに置かれていました。手に取ってみるとゴムでできたオモチャのボールでした。どうやらカラスの親子が泣いているルシアを元気づけようとしてプレゼントしてくれたようなのです。



ルシアは嬉しくてまた泣いてしまいました。彼女がカラスの優しさに胸が一杯になったのには訳がありました。ルシアは幼い時に父親を病気で亡くし、その後はシングルマザーの母親が4人の子供達を育てました。家族皆、生きるのに精一杯で末っ子のルシアを気遣う者はいませんでした。今回の事故の事を家族に伝えても、皆あまり心配したり優しい言葉をかけてくれませんでした。血の繋がった人間の家族にすら冷たくされた時に、優しくしてくれたカラスに涙が止まらなかったのです。



この出来事の後、ルシアは今まで心の奥底にしまっていた孤独感、自己肯定感の低さ、愛される資格がないとずっと感じていた事などをプロセスする事ができ、深い癒しと成長につながりました。



「カラス達は今度あの車が近くを通ったらフンだらけにして仕返ししてくれるわ」とルシアは笑います。



動物達の純粋で打算のない愛情に私達はいつも助けられているんですね。