前回お話ししたルシアのその後です。。。
しばらく落ち込んだ日々を送っていたルシアでしたが徐々に元気を取り戻していき、これからはもっと自分らしく生きたいという願望が強くなっていきました。
もともとボーイッシュな性格で女っぽい格好は好きではなかったけど、母親からいつも女らしくしなさいと躾けられ嫌々ながら従っていました。
ティーンエイジャーの頃自分は普通の女の子ではないと思い始め家族にカミングアウトしましたが、誰も真面目に取り合ってくれませんでした。母親に至っては、ルシアを教会の転向療法(性的指向を変えるセラピー)に送り込みました。
誰にも理解されず落胆したルシアは諦めて男の子とデートしますが、いつもモラハラタイプに捕まってしまうのでした。
最後の彼氏に散々傷付けられた後、もう自分を偽るのはやめようと決めたルシアは女の子とデートし始めます。でも何人かの感じのいい女の子と会ってみても何故かしっくりきません。彼女達にロマンチックな感情がおきないのです。
その反面、その頃出会った男性には胸がときめく。。。そこでルシアは、自分はどうやらレズビアンではないらしいと気付きます。
格好は男の子っぽいのが好き、でも化粧もしたい、恋愛対象は男性の身体を持った人達、男女という枠に嵌められたくない。。。。それらの要素を満たすのはノンバイナリーという選択でした。
ノンバイナリー(Non-binary)とは、産まれた時に決められた男女という2択性別に拘らない生き方の事です。各国のリベラルな都市部ではこの考え方を好む若者が増加しています。彼らは従来のHe/Sheの代わりにTheyという代名詞を使います。私は今だにこの言い方に混乱する事があります。誰かがノンバイナリーの知人の話をしている時、それが個人なのかまたは複数の人を指しているのか、They(彼ら)だとはっきりしないのですよね。
それはさておき、、、ノンバイナリーとしてカミングアウトしたルシアは(まだ親しい友人のみにですが)、少しずつ自分の殻を破って新しい事にチャレンジしようとしています。
先日は初のハーフマラソンに参加しました。そこで年上のゲイの男性と知り合い彼の仲間のゲイランナー達に紹介されました。彼らはルシアが女の子である事とかマイノリティーである事を全く気にせず快く彼女をランニンググループに迎えてくれたのです。
家族にもパートナーにも本当の自分を受け入れてもらえなかったルシアは初めて自分の居場所を見つけられた気がして泣いてしまいました。
先日ルシアは彼女がここ数年インスタに投稿していたマンガを私に送ってくれました。主人公の牛が色々な経験を経て成長していく物語。あるエピソードでは、今まで自分は雌牛だと思っていた主人公が実は雄牛だった事に気付きます。それを描いた時にはまだカミングアウトしていなかったので、深層心理がマンガを通してルシアの背中を押してくれたのでしょう。
自分の中でエネルギーがどんどん湧いてくるのをルシアは感じています。違う街に住んでみたい、新しい仕事にチャレンジしたい、もっと走り込んで強い身体を手に入れたい、本当に心を許せるパートナーを見つけたい。
自分の心に素直に生きる事を知ったルシアは、それらの望みを難なくクリアしていく事でしょう。

