ある物件で現在交渉過程にある案件の話です。
撤退するお店の現況は焼肉屋
居抜きで借りられると言う情報を聞き
物件視察に行く。
厨房設備の一式は揃っており
この状態なら当社の出店基準に該当する。
現在のテナントと貸主で締結されている契約条件は
退去時はスケルトン状態(からっぽ)にする事と言う条件
つまり現テナントは撤退するのに
スケルトン工事をしなくてはならない。
80坪のお店なので、坪あたり4万円程の工事代金が
掛かったと計算しても約300万円の費用が必要になる。
しかし当社がそのまま次に入居すれば
このスケルトン工事をしなくてよく、結果スケルトン工費費用が免除される。
僕らが引き継ぐ事により300万円が浮くのだ。
それで普通は納得するのだが
今回のテナントは少し事情が違った。
他にも飲食店を経営していて、そこで厨房設備を使うから
このお店から厨房設備を搬出すると言うのだ。
厨房設備の搬出にも30万円程のコストはかかる。
しかしこれには勿論ちょっと待ったを掛けた。
厨房設備が無くなるのであれば
その分当社で全てを用意しなくてはならない。
現状のままだから当社は引き継いで出店出来ると言う条件なのだ。
しかし全く無償譲渡じゃ可哀想だから
それじゃあ100万円払うから全部置いてってくれ。と前のテナントに申し入れた。
するとその条件じゃぁ厨房設備はやはり全部引揚げる!
と相手は言い出した。
こうなると、折角こっちが好意でよかれと思って提案いてるのに
バカバカしいから出店する気も失せてしまった。
冷静に考えて、今回店にある厨房設備を一式新品で購入しても
高く見積もっても400万円もあれば購入出来てしまう。
つまり
◎古い厨房設備を持ち出し利用するプランは
原状回復費用に300万円
厨房移設費用に30万円
合計330万円
◎そのまま退去し新品で厨房を購入するプラン
原状回復費 ゼロ
設備譲渡代金 +100万円
新規厨房設備購入費 400万円
合計300万円
つまりそのまま出て行って新品で厨房設備買う方が
冷静に考えても誰がみてもこちらの方が得なのだ。
しかも貸主も今度スケルトンにしてしまったら
当社以外の後継テナントがつく確約も無い為
現状我々が入居してくれるのが一番有難いとも思っててくれる。
つまりそのまま速やかに退去してくれれば
全員がハッピーなのだが。。。
前のテナントの事情は知らないが
この様な冷静な判断が出来ないから
撤退せざるをいけない経営状態になっちゃうんだろうなぁ。
クールさを失ったら。
ビジネスは負けです。
僕もこうならないよう
反面教師にしたいと思います。