***「いっちゃん・・・」
***が口を開いたとき、
本日は体育祭です。生徒は体操服に着替え、校庭へ集合してくださいー。
校内放送の邪魔が入って、言葉がかき消された。
「しょーがねーな。続きは終わってからな」
ポンっと頭を叩くと、***は顔を上げた。
「すっげー真っ赤」
これ以上ないくらい真っ赤な顔をして瞳に涙を浮かべる***の顔がかわいくて、ククッっと喉の奥で笑うと、頬を膨らませて怒る。
***「真っ赤にしたのは誰のせい!」
「俺のせい・・・だな」
***「そうだよ!」
***は両手でパチンと赤くなった頬を一度叩く。
「ほらっ。つかまれ」
俺が差し出した手に素直につかまる。
ふと***の姿に目が留まる。
半袖シャツにハーフパンツ・・・。
結構、露出してるな。
「・・・せめて、上、ジャージ着ろよ」
***「どうして?」
男の考えていることなんて、***にはわかるはずもなく、顔から?を飛ばして、不思議そうに俺の顔を見つめる。
「ハルに触らせてやることねーから」
俺は視線を逸らしながら、ぶっきらぼうに答える。
***「へっ?・・・あっ」
やっと言葉の意図に気づいたように半袖の体操服からのぞく素肌の腕を擦る。
***「でも。ジャージ持ってきてないよ・・・」
「俺のを貸すから」
スポーツバッグからジャージを取り出すと***に差し出す。
***「でも・・・暑いし・・」
ゴニョゴニョと何かを口答えする***に俺はしびれを切らし、
「ったく。これならいいだろ」
***の腕をつかむと、強引に引き寄せ、俺は***の鎖骨に顔をうずめた。
***「い・い・い・い・いっちゃぁん?」
突然の出来事に声をひっくり返し、バタバタと手足をばたつかせる。
「ばーか」
その言葉と共に俺は鎖骨に口づけ、強く強く吸った。
一瞬にして体が硬直するのがわかる。
***「いーいーいーいっちゃん???」
俺の頭の上でパニクってる***の声が面白くて、そのまま腹を抱えて笑いころげた。
***「いっちゃん?何したの?」
俺はさっき口づけた個所を指さし、
「ここ、キスマーク♪」
***「えっ?」
あわてて視線を下に落とすが、自分からは見えない位置に赤い斑点はある。
***「うそっ。やだ。いっちゃんのバカ!」
「言っとくけど、絆創膏貼ると余計目立つよ。フツーそんなところ怪我しねーから」
先回りした答えにグッと***は言葉を飲み込んだ。
***「・・・ジャージ貸してください」
悔しそうに唇を噛んで、恨めしそうに俺を睨んだ。
「よしっ」
俺はにやけながらジャージを差し出した。
「佐東」の名前の入ったジャージを身にまとい、前のファスナーを首まで閉める。
俺のものだって周りに宣伝できて一石二鳥かも。
俺は***に見えないようにガッツポーズを決めた。