令和六年四月二十五日
四国遍路八日目の記録の続きです。
朝7時過ぎに生名を出発し、1時間45分ほどで鶴林寺の山門に着きました。
一礼して境内へ進みます。
山門に貼られた古い納め札が今も数多く残っています。
山門の両脇には、阿吽の鶴の像と金剛力士様が安置されています。
阿形の金剛力士様
反対側には吽形の鶴の像
吽形の金剛力士様
参道を進み、本堂方面へ向かいます。
平日の午前中は参拝者も少なく、境内は静寂に包まれていました。
階段を登ると正面に本堂があります。
第二十番「鶴林寺」
本堂の両脇にも鶴の像が祀られています。
お大師様がこの山で修行をされていた時、雌雄二羽の白鶴がかわるがわる翼を広げて老杉のこずえに舞い降り、小さな黄金のお地蔵様を守護していたという伝説があります。
お大師様はその情景を見て歓喜し、近くにあった霊木で高さ90センチほどの地蔵菩薩像を彫造し、その胎内に黄金のお地蔵様を納めて本尊とし、寺名を鶴林寺にしたと言われています。
ご本尊の地蔵菩薩様へ、ここまで無事に歩かせていただいた事をお礼申し上げます。
「おん かかか びさんまえい そわか」
お勤めを終えて記念撮影。
へんろ道を登って疲れていた筈なのに、思いの外、清々しい表情です。
本堂の裏手には、ご本尊様降臨の杉が今も残っています。
杉の隣におられるお大師様へ合掌礼拝。
「南無大師遍照金剛」
次は本堂の右手に建つ三重塔へ。
天気が良いので綺麗に写真が撮れました^^
階段を下って、大師堂へお参りします。
「南無大師遍照金剛」
少し参拝者が増えて、ベンチで休憩している歩き遍路さんが数名おられました。
飲料水が足りなくなってきたので自販機のある場所を納経所で聞いてみると、山を下るまではないとの事でした。。
500mlのペットボトルに半分ほど残ったお茶で凌ぐしかありません。
太龍寺まで6.3km、とりあえず自販機のある所を目指して山を下ります。
下りのへんろ道の前にあるマップを確認。
下り始めの地点にトイレらしき建物がありますが、現在は使用出来なくなっています。
鶴林寺を参拝の際は、お参りの前に駐車場のトイレを利用しておくのがベストです。
道しるべには、鶴林寺から太龍寺本堂までの距離は実測6.68kmと記されています。
やはり四国のみちの道標より、こちらの方が信頼出来そうです。
しばらくは舗装された道を下ります。
左手を見下ろしてみると、先に出発された2人のお遍路さんの姿が見えました。
寺院の建物の裏の道を通り過ぎると、長〜い遍路ころがしの下り道のスタートです。
鶴林寺の下り道はとにかく階段続きで、かなり膝にきます。
私は下りの階段が苦手なので、足を痛めないように時間をかけて一段一段ゆっくりと進みます。
苔むした手すりと石段が続き、とても雰囲気の良いへんろ道です。
振り返ってみると、かなりの急勾配である事が解ります。
強烈な急カーブの所もあるので、転ばないよう慎重に。
少し傾斜が緩やかになりました。
歩きやすくするためにジグザグに丸太が敷かれている所もあります。
山道を整備して下さっている方へ感謝して歩かせていただきましょう。
丸太の橋を渡る所もあります。
道幅が狭く危険な所には手すりを設置して下さっています。
道中にお祀りされている仏様へ合掌礼拝
「杖つきて 大師と共に 二人旅」
お大師様の化身である金剛杖が足腰を守って下さるお陰で、私も無事に歩かせいただく事が出来ています。
ありがとうございますm(_ _)m
私はのんびりゆっくりペースなので、元気な外国人のお遍路さん2人組が追い抜いて行きました。
緩やかな山道の区間があると、ほっとします。
こちらは舟形丁石でしょうか。
右側には四丁と刻まれているように見えます。
21番への道しるべ。
急な下りはまだまだ続きます。
尾根道らしき所もあります。
急な下りの道沿いにも仏様の丁石が残っています。
どこが道なのか解り辛いポイントに道しるべを設置して下さっているようです。
「やがては宇宙へ 還元される 命」
魂の修行のために今世で与えていただいたこの生命。
世のため人のために、ほんの少しでもお役に立てるような人生を送らせていただきたいものです。
木の根本に残る丁石。
標高が下がってくると、前かけを掛けられた丁石を見かけるようになりました。
遠目にはどちらが道が解らない所では、道しるべの有無をチェック。
曲がり角の左手には四国のみちの道標、正面には古の時代の道標が建っています。
案内板によると、1809年に建てられた道標のようです。
右側には
「文化六巳天 願主 照蓮」
「世話人 徳嶋講中」
正面には
「是ヨリ太龍寺へ四十丁」
「四国中千躰大師•真念再建」
と刻まれているようです。
微妙なアングルですが、一応記念撮影。
まだまだ余裕の表情です。
道標から先の下り道をしばらく進むと、
道が明るくなって舗装路が見えてきました。
一瞬ここがゴールかと思ってしまいますが、もうしらばらく下りが続きます。
舗装路へ出たら、道しるべに従って右へ進みます。
少し進むと、ガードレールが途切れた所に道しるべがあります。
新旧のみちしるべと丁石が並んでいて、進むべき方向が一目瞭然です。
太龍寺のロープウェイ乗り場まではここから7.9km、歩きだと5.1km。
太龍寺までへんろ道を歩くか、遠回りしてロープウェイを利用するか、体力的に自信のない場合はここが重要な分岐点となりそうです。
今回はもちろん、へんろ道ルートを選択。
しばらく階段を下ります。
トイレの案内板があるのでほっとしました。
手すりつきの階段を下ると、
再び山道に入ります。
小さな橋を渡り、
まだまだ下り道が続きます。
平坦な道に出たところで、ペースの速いお遍路さんが追い抜いて行きました。
トイレはどこにあるんだろう?
と思っていたら、次の階段で再び案内板がありました。
まだまだ先と言う事ですね。。
手すり付きの長い階段を下ります。
太龍寺まで4.8km。
かなり歩いたように思いますが、鶴林寺からはまだ1.5kmしか進んでいません。
階段を下ると平坦な道に出ました。
道中右手には「五丁」と記された丁石がありました。
鶴林寺とも太龍寺とも距離が一致しないので、どこまでの距離を示したものなのか不明です。
平坦な道をしばらく進むと、左手に神社らしき建物が見えてきました。
真っ直ぐ進んでも境内へ入れますが、迂回して正面から参拝させていただきます。
右手へ進むと舗装路へ出ました。
こちらは八幡神社のようです。
両脇には狛犬さんが立っています。
年代は不明ですが、歴史を感じる狛犬さんです。
二礼、ニ柏手、一礼。
神社のお参りの作法にて参拝させていただきます。
境内には立派な御神木が立っています。
かなり古そうな百度石も残っていました。
こちらは神輿庫のようです。
八幡神社の隣に休憩所がありました。
鶴林寺から歩き始めて最初の休憩スポットです。
ありがたく休ませていただきます。
「早く歩くか ゆっくり歩くか」
「なん日で廻るか なん回廻るか」
「そんな事よりしっかり歩け」
まさにその通り、お遍路はスケジュールを考えてもなかなか思い通りにはいかないものです。
お大師様の歩かれた道を、一歩一歩しっかり進んで行く事が大切であると、改めて考えさせられるお言葉でした。
心に残るありがたいお言葉と共に記念撮影。
鶴林寺からの遍路ころがしを無事に下る事が出来てひと安心ですが、ここから先は那賀川を渡って、第三の遍路ころがしと言われる太龍寺への道を登る事になります。
この先の道中記は、次回の記事でまとめたいと思います。
ご覧いただきありがとうございました。