佐世保と佐賀を比較!
都市の重心はかく移動する(その1)
どちらも九州ですが、長崎県佐世保市(都市人口26万人、都市圏人口30万人)と佐賀県佐賀市(都市人口24万人、都市圏人口40万人)です。この2都市は、近くにありながら、際だった差異が見て取れます。
◆佐世保 ■佐賀
商店街(地図中の「市街地」の部分)の写真を見てみると、人通りに大きな違いがあるのが分かります。何故この差は生まれたのでしょうか。
人口規模ゆえ、主要施設は静岡や新潟より少なめですが、地図を見てみると、佐世保市は、市役所を除いて徒歩圏の市街地にあらゆる主要施設が密集しています。周囲を山に囲まれた地形の制約があって、郊外に移転先がないことや、新たな幹線道路を作れない影響で、車でどこからどこに移動するにも、市街地は大抵通ることになります。
一方、佐賀市はそれぞれの要素が分散しています。佐世保市と事情が逆で、周囲が平野で移転先があることや、道路網を充分に整えられた影響で、中心部が空洞化しました。市街地の人通りは非常に少なく、その代わりゆめタウン佐賀やモラージュ佐賀等、外側を結ぶ四角形状の道路沿いに商業施設が多く、こちらが買い物の需要を吸収しています。それぞれの機能が買い物、手続き、通院…それぞれの場所が離れていることで、自家用車をもつ必要性は極めて高くなります。
街の賑わいは周囲の地形によって決まる!?
皆さんにとっては、どちらの都市が住みやすいでしょうか。
商店街の写真だけ見ると、密集したコンパクトな街の方が良さそうです。車を持たず、徒歩や自転車で生活したい人、嗜好の問題ですが街を歩くのが好きな人にとっても密集したコンパクトな街が良いでしょう。一方でコンパクトな街は、これまで市街地、住宅地の面積を拡げずに人口増を賄ってきたため、地価が高いのが難点です。拡張の余地がないことで、比較的早い段階で人口減少を迎え、そのペースは早まってもいます。
何かを取れば何かを失う、と言って良いでしょう。
都市の形がどうなるのかには、各都市の施策が影響を与えていますが、それ以上に、周囲の地形が影響を与えています。山に囲まれた佐世保市と平野が広がる佐賀市は違いが明確です。
静岡市と新潟市の場合は、どちらも平野が広がり、地形的に変わらないようにも見えます。しかし、より引いて見ると地形の違いが鮮明になってきます。
街の変化を動態観察しよう
静岡と佐世保は、あらゆる中心的機能が重なっていますが、街の構図が昔から変わらず動いていない街でもあります。新潟や佐賀は、あらゆる中心機能が分散していますが、街の中心機能が時を経るごとに動き、街の構図が変わっていく…この動く街の生態を捉えると、過去や未来を読み解くヒントが得られることでしょう。次回は、そんな視点から街を見ていきます。
七夕だけが空しく