Jさんとの私の家は車で30分程の距離があった。

ある日、自宅近くまで出てこれる?

"渡したいものあって"と連絡があった。


娘と一緒に近くのコインパーキングまで行くと、

たくさんの野菜を袋いっぱいくれたJさん。


私の現状を聞いて、"食費も大変だと思ってさ"と

野菜をお裾分けしてくれたのだ。

自分の家の畑で作っているんだ、と。


驚きながらも、ありがとうございます、と受け取った。

まだ1年生だった娘は、恥ずかしそうに私の後ろに隠れる。


Jさんは娘と同じ目線の高さになるように腰を落とし

「こんばんは」と笑って声をかけてくれた。


続けて、あぁ、懐かしいなぁこのぐらいの頃。

娘の小さかった頃を思い出すよ、と口にした。

そして、困ったらいつでも言ってね!と帰っていった。


自宅に戻る途中、娘が「あの人、優しかったね!」と

少し照れながら嬉しそうに笑った。


私はなんとなく、娘に、パパ、ほしい?と聞いた。

キラキラした表情で、「うん!」と答える娘。

続けて、「あーでも、どっちでもいいよ!

ママと2人でいるの楽しいもん!」とニッコリ。


どんなパパだったら、娘は幸せになれるのかな?

父親という存在は、やっぱり必要…なんだろうか?



実は娘と2人暮らしの頃、1人付き合った人がいた。


それがTさん。付き合ったのは1年半ぐらいだろうか。

私は彼の事がすごく好きだった。


同い年であったが、仕事もバリバリとしており

私のことを本当に大事にしてくれていた。


私が娘を一番に優先することを、当たり前だからと、

俺よりも娘ちゃんとの時間大事にしてね、と

受け入れてくれていたし、娘のことを可愛がってくれて

何度かお出かけをし、旅行に行ったりもした。。


娘もTさん、Tさん!と追っかけ回して遊び、

遊べると知るとやったー!と大喜びしていた。

遊び疲れてTさんの背中で眠った娘の姿を見た時は、

Tさんと家族になれたら…と心から思った。


だけど、そう思えば思うほど、

私が、バツイチ子持ちの私が、Tさんの人生を

もらっていいんだろうかと思うようになった。


誰かと恋愛して、愛し合って、結婚して、

愛する人との子どもが欲しいと思って、家族が増えて…


そうやって、1から誰かと幸せを作っていってほしい、と。

いや、、これは綺麗事だったかもしれない。


Tさんのこれからの人生を途中で止めて、

私がその人生を奪ってしまうような気になった。

その感情は、とても重く苦しかった。


それと同時に、Tさんといると、

自分のダメさが更に浮き彫りになるような、

情けなさを感じていたのも事実だ。


私はTさんと別れることを決めた。


当時20半ば。仕事も人生もこれから!で

趣味を楽しみ日常をキラキラさせている彼と、


バツイチ子持ちでメンタル抱えてて

保護からの自立も出来ない私。


Tさんと私は生きてる環境が違い過ぎた。


結局は、自分が苦しいから別れたんだと

今振り返ると思う…Tさんを物凄く傷つけた。


そんなTさんが私との結婚を考え始めていたこと、

私は別れる時に知った。


彼が今幸せにやってるかなんて私に知る権利はないんだけど…

誰かと幸せになっていたらいいなって思ってる。


私なんかと別れて良かったと思ってくれていたら、

いや、私との思い出すらも忘れてくれていたら、、


なんて、こんなの、当時の別れるという決断を

した自分を正当化したいだけじゃんね。