父とは一緒に暮らしてはいなかったけど、

やっぱり喪失感は大きくて、辛かった。


それと同時に、もしあの時私が死んでいたら

母は、、同じように泣いてくれた?

そんなことを思った自分もいた。


"パパには裏切られ散々揉めたのに、死んだら

いい思い出ばかりが頭に浮かぶ。ずるいね、"


母は泣きながらそう口にした。なんだか

いろんな感情が相まって、私は"そうだね"と

言うことしか出来なかった。


それでも人間とは不思議なもので。

時間の経過が、悲しみから救ってくれる。


Yくんにもすごく支えられた。

そんなYくんと、私はずっと一緒にいたい、

この人と2人で暮らしたい。そう思った。


彼も同じ気持ちだったんだろうか?

「わたあめちゃん、一緒に暮らそう」そう言った。

「俺今の仕事辞めて正社員になるから、

頑張るからさ。ずっと一緒に居たい」と。


「…うん!」すごく、すごく、嬉しかった。


彼はすぐに正社員の仕事を決めてくれた。


母は寂しさや心配からか口うるさく言われたけれど

最後は受け入れてくれた。Yくんのお父さんは

「こいつをよろしくな」と笑ってくれた。


そして、Yくんとの暮らしが始まる。


当時お互いフリーターで稼いではいたものの、

引っ越し費用や準備でお金を使ったため

生活に余裕はあまりなかったけど、

"おかえり"とYくんを迎えられる日々が

嬉しくて、楽しくて、本当に幸せだった。


私が作ったご飯をいつもくしゃっとした笑顔で

「めちゃくちゃおいしい!」と言ってくれて


少し失敗しちゃったときも、

「それでもおいしいよ、作ってくれてありがとね」と

笑って頭を撫でてくれた。


ただひとつ、彼はパチンコが好きだった。

趣味で打ちに行くことが結構あった。


それでもお金を借りてまでやったりとかは

なかったし、ここまで使ったら今日は帰ろう、

という辞め時もちゃんと分かっていた。


父もパチンコをしていたから、特に抵抗もなく

一緒に行って横で見てることもよくあった。



そんな彼と一緒に暮らし初めて数ヵ月。

私は生理が遅れてることに気づいた。


元々子どもが大好きでお母さんになりたいと

思っていた私だったけど、当時まだ19歳。


私、お母さんになっていいの?という気持ちと、

妊娠してたら、彼は?母は?受け入れてくれる?

そんな不安が入り交じって、

いろんなことを祈りながら検査薬を使った。


結果は、陽性。

妊娠していたと分かった直後は 

跳び跳ねるぐらい嬉しかった。


お母さんになりたいと思っていた気持ち、

大好きな彼との子を授かった嬉しさ。


だけど…、彼は?

彼はどんな反応するんだろう。


夜、彼が帰ってきたら話そう。