たまたまたどり着いてしまった、出会い系サイト。

といっても、あからさまなものではなく、

″友達募集ページ″なんてコーナーもあるやつ。


好奇心と、現実逃避したい気持ちから、

友達募集のトピックを自分でたてた。

家に居たくない、友達ほしいと書く。


すぐに1人の女の子がメッセージをくれた。

ひかちゃんという、中学2年生の子。


「親に放置されてて、うちも家に居たくないの。

よかったら一緒に遊ぼうよ^^」


何度かたわいのないメッセージをやりとりして、

数日後私たちは会うことになった。


夕方待ち合わせして、喋りながらぶらぶら。

初対面とは思えないほど、すぐに意気投合した。


会って、特に何をする訳でもなく喋る。

お互いの心の穴を埋めるかのように、ただただ話をする。

"仲間がいる"、"1人じゃない"、そう思いたかったんだ。


基本は夜20時頃までには帰るようにしていたが、

それでも最初のうちは母にバレないかと、

正直ヒヤヒヤしながら遊びに行ってた。


そんな風にして何回か会っていたある日。

「わたあめちゃん、帰んなくて大丈夫ー?」

今の時刻は夜21時。よく補導もされなかったと今は思う。

「大丈夫。お母さん明け方まで帰ってこない」


この頃母は昼間の仕事を辞め、夜の仕事を

メインにして働き、帰りはいつも明け方だった。


姉には一応いつも連絡はいれていたし、

そもそも姉も夜彼氏の家にいったりしていたから

お互い様でもあって、特に怒られなかった。


「そう?んじゃーもう少し遊ぼっ!」

向日葵みたいにニコっと笑うひかちゃん。


ここは繁華街ってほどではないけれど、

居酒屋、キャバクラが多くある。

私たちはその人ごみに紛れて遊んでいた。


そんな時2人の男の人が話しかけてきた。

「君たち中学生?2人で遊んでんの?」

「良かったらドライブでもしよーよ」


大学生ぐらいだろうか?黙る私とは正反対に、

「えーどうしようかなーっ。」

ひかちゃんは慣れた様子で会話をしている。


「わたあめちゃん!ご飯奢ってくれるって!」

半ば強制に、腕を引っ張られ行くことになった。


楽しげな音楽が流れる車に乗り込む。

初めての事で緊張していた私に、

お兄さんたちは優しく話しかけてくれる。


くだらない話で盛り上がるお兄さんたちと

ひかちゃん。その雰囲気に私も笑みがこぼれる。


ご飯を食べ、海沿いをドライブする。

車から見える夜の海は、なんだか綺麗で。


「…窓、開けてもいい?」

そう聞く私にお兄さんはいいよーと開けてくれた。

「海、綺麗っしょ?」「…うん」頷く私。


窓をあけると聞こえる波の音が、

苦しかった私の全てを洗い流してくれるようで

泣きそうになったのを覚えてる。