あれから母との関わりは最低限となり、

学校に行けと言われることはなくなった。


時は5年生の夏休み。携帯を持っていた姉から、

「わたあめ!パパが泊まりに来いって。行こう」


すぐに行くことになった。

姉を通してメールはしていても、会うのは久しぶり。

アイスやお菓子を買って、焼きそばを作ってくれた。


市販のは使わず、父特製のとっても濃いソース。

私は昔から父の焼きそばが大好きだった。


食べながらいろんな話をしていると、

「わたあめは学校どうなんだ?」と聞いてきた。


一瞬どうしようか迷ったが、「意地悪されて、、

行けてないんだぁ、」と苦笑いで答えた。


「そうかー。行きたくなかったら行かなくていいよ。

学校なんか行かなくたって死にゃーしねぇから。

ま、頭はバカにはなるけどな」そう笑って答える父。


″終わり良ければ全て良し″父の好きな言葉。

そんな父の言葉は、私を少し楽にさせる。


そうだ、お前に携帯やろうと思って、と

父は突然私に新しい携帯をくれた。

これでいつでも連絡とれるだろ、と笑った。


2.3日ほど、過ごし、帰る日の夕方。

「あぁーさみしいなぁ。ここに住むか?」と

笑いながらも、父の目は涙ぐんでいた。

また来るよ、またね、と帰路に着く。


それから、父にもらった携帯で連絡をとり

何回か泊まりに行ったりしていた。 


自分の家には、やっぱり居場所はない。だからこそ、

自分の世界に入れる携帯というものにのめり込んでいった。


いろんな事を検索してみるようになっていた。

同じように学校行けなくなった人が集まる掲示板とか、

悩んでる人が書き込む相談掲示板みたいなのを読んでいた。


そこで、気になる文章を見つけた。

″辛いことがあって死にたくなった時、手首を切ってます″

″血を見ると、落ち着くんです″

″私も、リスカすると落ち着きます″


リスカ…手首を切る…?落ち着く?

気になったが、そのときは特に何もしなかった。


そして別の日、母に呼び出された。

ずっと家に居る私に嫌気が差したんだろうか。

「あんたこれからどうするつもり?」

「ずっとこのままな訳?!」


「分かってる…!でも、もう学校は行きたくない!

ママが分かってくれないなら精神科に行きたい…

お医者さんなら私の気持ち分かってくれる…!」


「はぁ?精神科なんて頭のおかしい奴が行くとこだわ!」


「だって誰も分かってくれないじゃん!

何にも私の話聞いてくれない!もういやだ…」

「皆と同じように朝起きて学校に行く、

友達と遊ぶ、私は皆と同じようになれない!

私は普通にすらなれない!」


何を言っても、責め立てられる。逃げ場がない。

頭の中が死にたい消えたいでいっぱいになる。


「もういい…!!!」部屋に閉じ籠る。

ママなんて、、大っ嫌い大っ嫌い大っ嫌い!!

大好きだったのに……大っ嫌い!!!


呼吸が荒くなり過呼吸になりそうなのがわかる。

ふと視線がいった先に、カッターがあった。


カッターを手に取ると、少し手が震えた。