「レナート・カノーバ」 といっても日本人にはなじみがないと思います。ケニア人を中心に長距離ランナーの指導を行っています。

 

2009年と2011年の世界陸上マラソンで2連覇のジェフリー・キルイ、2017年世界クロスカントリー選手権で優勝したアベル・キルイ、同じ年のロンドン世界陸上のマラソンで優勝したアイリーン・チェプタイなど、数々の世界的なランナーを育てています。

 

 

 

2017年の福岡国際マラソンで優勝し、今年8月に厚底シューズで1時間走のヨーロッパ記録で走り、後に取り消された?ノルウェー人のソンドレ・ノルスタッド・モーエン選手も指導を受けています。

 

 

 

私がレナート・カノーバ氏を知ったのは、NHKで放映されていた 『奇跡のレッスン』 です。

 

※11分58秒過ぎ

 

印象に残ったのは、記録が低迷している陸上部のキャプテンに伝えたこの言葉です。

 

「君が走るのが好きならレースを試験だと思わないでほしい。自分を表現できる喜びと考えて」

 

指導者として、心しておくべきことだと思います。競技を続けるには、選手自身が楽しいと思わなければいけないし、義務感やプレッシャーを感じるようでは、決して良い結果は得られないでしょう。

 

レナート・カノーバ氏については、『LetsRun.com Japan』 の記事から情報を得られます。

 

アメリカLetsRun.com公認。海外の陸上競技の情報を日本へ

 

元々は母国であるイタリアで指導を始め実績を積んでいます。最終的にはケニア国内を中心に指導を行うことになりますが、2013年から2015年には中国での指導も行っています。

 

トレーニングの考え方としては、レースに向けてトレーニング期間を分け、最終的な目標タイムに向けて、徐々にペースを上げていくことになります。

 

 

 

 

 

以前の投稿で紹介したリィディアードのトレーニングの考え方に似ていますが、現在のレースの流れを考慮し、さらに発展させたといえます。

 

海外の情報になりますが、トレーニングの詳細が載っており参考になります。

 

Part1

 

Part2

 

1. Transition Period (4 weeks post Marathon)

2. General Period (4 weeks duration)

3. Fundamental Period (6 weeks duration)

4. Specific Period (10 weeks duration)

 

日本語訳

1.移行期間(マラソンの4週間後)

2.一般期間(4週間の期間)

3.基本期間(6週間の期間)

4.特定の期間(10週間の期間)

 

トレーニング詳細は公開されている情報を確認いただきたいと思いますが、要約すると各期間で明確に強度設定をしており、レースに向けて段階的に強度を上げ、最終的な目標とするレースのペースに合わせることになります。

 

さらに特徴的なのは、坂道でのトレーニングが定期的に取り入れられていることです。坂道トレーニングにより心肺機能の強化と、レースペースの変化に対応できる身体能力の獲得が可能になると思います。

 

私が一番気になったのは、一般期間の下記の内容です。翻訳になるので、内容が正確には理解できませんが、持久力と動きを同時に高めるトレーニングと理解しています。

 

2週間ごとに1セッション、丘のサーキットで交互に。

例:4〜6個のx回路 サーキット間に6分の休憩

・30秒のスキップ

・50 mのバウンディング

・30秒のヒールからバットキック

・30秒のニュートラルフィートでのジャンプ

・30秒の矢状分割

・10回のスクワットジャンプ

 

ただ走るだけではなく、フォーム改善のトレーニングが取り入れられていることは興味深いです。正確な内容を確認したいと思います。

 

非常に参考になりますが、レナート・カノーバ氏はレーニングの内容を公開しており、一般の方ともWEBで意見交換をおこなうなど、陸上競技の普及に力を注いでいます。

 

現在は75歳と指導者としては高齢です。『奇跡のレッスン』 の中でも中学生にお手本を示していましたが、自身の身体で動きを教えることができるのは素晴らしいことです。

 

私自身も良きお手本として、できるだけ長く指導を続けられるよう頑張りたいと思います。