東京オリンピックで、800m、1500mで金メダルを獲得した、ニュージーランドのピーター・スネル氏が亡くなったことを、最新号のランナーズで知りました。
今ではほとんど知られていませんが、私自身は、陸上関係の本で、中学校の時から知っていました。

 

 


スネルを指導していたのは、同国のアーサー・リディアードです。
すでに紹介した、パーシ―・セルッティと、同時期に活躍していた指導者です。隣国でしかも、自然環境を生かしたトレーニングを行っていたことは、注目に値します。


リディアードの練習方法については、1993年に小松美冬さんの訳で 『 リディアードのランニング・バイブル 』 が発刊、紹介されています。現在でも、販売されていますので、ランニング本としては超ロングセラーです。

 


リディアード=マラソントレーニングという図式が、頭に浮かんできます。オフシーズンに、長い距離を走ることにより、有酸素摂取能力を高め、レースを走るためのベースを築きます。

さらに、目標とするレースに合わせ、スピードを徐々に上げていき、レースでのパフォーマンスを、最高に高めるよう、練習プログラムを組むことが特徴です。

その中でも最も重要なのは、マラソントレーニングの後に行うヒルトレーニングだと思います。リディアードのトレーニングの中核といってもよいと思います。マラソントレーニングで獲得した持久力を、レーススピードにつなげるため練習です。

ヒルトレーニング

スタミナ養成の段階から、いきなりスピード練習に移行するのではなく、ヒルトレーニングを行うことにより、故障をすることなく、レーススピードに耐えうるフォームを獲得することが、目的だと思います。

リディアードのトレーニングは、最終目標のレースにあわせ、逆算してトレーニングメニューを組み立てていくことが特徴です。各シーズンごとに明確に目的を決め、さらに各シーズンの練習を連動させ、最高のパフォーマンスを発揮することが目標になります。

パーシ―・セルッティとは隣国ですが、対極といってもいいくらい考え方が異なります。
ただ、この2人に共通することは、自身の体で取り組み、トレーニングの考え方を確立したことです。


高齢になっても指導を続けられたことは、指導者として、お手本にしたいものです。