実家終い③ | 日記

日記

日々の徒然

買取業者は詐欺だった。

TVのニュースで観た、まさにその通りで驚いた。

 

ネットを開けると「大型家具・家電、食器から布団までなんでも買い取りOK!」と、多くの業者に同じ謳い文句が並んでいた。これは便利とばかりに適当に選んだ数件に電話をかけ、対応が良かった会社に見積もりを依頼した。

 

時間通りに現れた営業マンは清潔感のある20代後半の若者だったが、挨拶が済むと部屋の写真を撮りながら誰かとずっと携帯で話していた。そして「家具や家電は倉庫の場所を取るから引き取れないですよ。貴金属やバッグはどこですか?」と急に高圧的な態度に変わったのだ。

 

うわ…まさかの買い取り詐欺。彼は電話をしながら部屋の中を歩き回り、貴金属の置き場所を探していたのだった。

 

幸い貴金属は前日の葬式の際に全て姉に預けて来たので、無いものは無いと断れた。もし手元にあったらカモとなり買い叩かれていたと思いぞっとした。 

 

貴金属が無いことがわかると今度は部屋の中のものを不用品として36万円で処分するという。予算外だと断るとなんと24万円まで値引かれた。更に断ると今度は18万円に。大してごねてもいないのに数分で半額になったのだ。どれだけぼったくろうとしたのかが見て取れて笑ってしまった。その後仕事が取れないと困ると今度は泣き落としにかかった若者に「相見積もりをしたい」と告げ、私が滞在中に楽しもうと思って買ったプリンを持たせて追い出した。プリンは何となく良い雰囲気を作って逆恨みされないための作戦である。少し前まで若者は誠実そうだったり威嚇したり同情を請うたりと忙しく七変化していたが、プリンを手にして拍子抜けした様子で出ていった。おばさんの勝利である(笑)

 

とは言え、密室に詐欺師と2人の時間は相手の豹変タイムもあり少し怖かった。そこで母には申し訳ないが買取は諦めて不用品回収業社を利用することにした。するとネットでは「2トントラック詰め放題6万4千円!」の筈の業者が13万円の見積もりを出してきた。それでも午前中の詐欺に比べれば13万という良心的な数字に安堵した。ただ更に消費税まで上乗せしてきたので「予算は10万だった。税込みで13万にするなら今直ぐ契約する」ときっぱりと言うと直ぐに税金は引っ込めて来たので契約をした。旅の恥はかき捨てというか、とにかく初めての値引き交渉は成功したのだと思うことにした。

 

こうして翌日には男性3人が来て手際良く搬出作業をしてくれた。

途中彼らはまだ新しい冷蔵庫や高価な鍋や食器、消耗品の買置きまで個人的に欲しいと別に分けて引き取ってくれた。私にしてみればその後の行方は本人が使おうが転売されようが、ゴミにされるよりずっと良い。彼らのおかげで少しだけ気持ちが楽に遺品たちを送り出すことが出来たし母にも少しだけ面目が立った。