今回は、遺産を相続した時に、
相続税は課税されないけど、
準備を怠ると厄介なことになりかねない
相続について検証します。
この記事の構成は次のとおりです。
・相続税が課税される人とその金額
・まとめ
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たとえば、夫の遺産を、
その妻と子ども2人の3人で相続するとき、
まず次のように「基礎控除額」を計算します。
基礎控除額
=3,000万円+(600万円×法定相続人数)
=3,000万円+(600万円×3人)
=4,800万円
基礎控除額は4,800万円になります。
従って、4,800万円以上の遺産を
相続する場合は、
相続税の納付が必要になります。
ところで、死亡者数に対する
相続税の課税件数の割合は8.8%で、
相続税の課税があった被相続人(亡くなった人)
1人に対する相続税の
ひとり当たりの納付額の平均は1,737万円です。
ともに、2020年の統計値です。
(公財)生命保険文化センターのHPより)
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相続税のかからない相続の方が厄介かも
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また、家庭裁判所に調停が持ち込まれた
6,934件のうち、
5000万円以下の遺産の割合が、
5,316件と全体の76%を占めています※。
つまり、相続税は課税されなくても、
また相続遺産が多額でない場合は、
相続人のあいだで
「争族」の状態になることが、
うかがえる数値です。
相続税が課税される多額の遺産相続では、
もめごとが起こらないように、
事前に対策がなされているとも想像できます。
※ 最高裁判所「令和3年司法統計年報 家事編」 第52表 遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割しない」を除く)より
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筆者のところにも、
親からの遺産相続で相続税の課税は、
ないとは思うが、
相続が発生した時には、
厄介なことになるかもしれないと、
懸念した相談があります。
FP業務の範疇を超える部分もあり
専門家とともに対応することもあります。
たとえば、親の住宅ローンといった、
負債(借金)を相続するかもしれない
けど、単純には相続を放棄できない。
といった複雑な問題です。
また、遺産が持ち家(実家)だけのとき、
・その家に、親と兄弟のうちひとりの子が同居して、
ほかにもきょうだいがいる場合に、
均等に遺産を分割する場合
・子どもたちが独立して持ち家があり、
実家には親だけが住んでいて、
親が亡くなったあと実家が「空き家」に、
なる場合
・実家の土地建物の登記が、
親が相続した時に相続登記をしていなく、
未だ親のきょうだいの共同名義に、
なっている場合 など
不動産関係以外でも、
親が書画骨董古美術などに興味があり、
資産的な価値のない品物を収集して、
処分に困る場合もあります。
その他にも、相続税の課税はなくても、
相続をするときを考えて、
事前に対応策を考えていくことは、
家庭ごとにあるようです。
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まとめ
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いくら親から子どもへの
遺産を相続するといっても、
遺産の所有者であり当事者である親でしか、
解決できない問題もあるのです。
解決できない問題を含んだ
遺産を相続した人は、
厄介な問題を抱えてしまうのです。
従って、
当事者が解決しなくてはならない問題は、
先送りすることなく、
親の責任において解決すべきなのです。
次回は準備して遺産相続をしても、
家計に影響の生じる相続について検証します。
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◆ 今週のポイント
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子どもが困る相続は、
当事者が避けることなく、
自身で解決して、
旅立ちましょう!
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◆ 編集後記
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自分の資産は、
自分で使い切るのが一番!?
人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第538号)
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