先回から、私のところによく相談いただく
「お困りごと」、いわば
みなさまの「お困りごと」についての
基本的な解決策を、お伝えいたします。
2回目の今回は、
「NISAやIDeCoと元本割れの心配」です。
投資資金の元本割れと資産形成について
考えていきます。
この記事の構成です。
・本来、金融商品には元本保証はない
・リスクを考慮して投資をする
・元本保証の例
・実際のリスクとは
・リスクを許容できる尺度
・NISAとIDeCoの特徴
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金融商品の中で、投資したお金、
元本(がんぽん)分のお金が減らない保証が、
されている金融商品は、
・銀行の預貯金
・個人向け国債
・一部の保険商品
など、限られています。
つまり、株式や投資信託、債券に代表される
世の中に出回っているほとんどの金融商品に、
投資するお金の元本は、
保証されてはいないのです。
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また、金融商品にはリスクがあると、
恐れている方がいます。
金融商品でいうリスクとは、
たとえば、ある会社の株式に投資したら、
100万円の収益が上がることもあれば、
反対に、100万円の損失を出すこともある。
言い換えれば、
最大で100万円儲かるかもしれないし、
100万円損するかもしれない、
投資することの損益に、この幅の「ブレ」が、
生じる。ということです。
このリスクを考慮しないで金融商品に
投資をしないと、
収益を確保することは難しいです。
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また、元本が保証されているということは、
たとえば、銀行の定期預金に、
毎月2万円ずつ積立て、
お金を貯めていくことを考えます。
毎月2万円ずつ貯めていけば、
・1年間で24万円
・10年間で240万円
・30年間で720万円
お金が貯まっていきますし、
若干ですが利息が付きます。
この利息が年0.002%付けば、
毎月2万円ずつ積立てていくと、
・10年間で240万242円(うち利息分242円)
・30年間で720万2166円(うち利息分2166円)
となり、30年間で2166円の収益を得ることができ、
この預金を積立てる資金、
つまり元本も保証されているのです。
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また、銀行に定期預金をした資金と同額の2万円を、
同じ期間リスクのある金融商品、
ある会社の株式に投資したとします。
上記の銀行の定期預金の金利の100倍、
平均年2.0%で運用できたとすると、
・1年間で24万400円(うち収益400円)
・30年間で984万1497円(うち収益264万4197円)
となります。
たとえば、
10年間で、25万6316円の収益が上がれば、
反対に、10年間で同じ額の25万6316円、
損するかもしれない。
このブレがリスクです。
また、前項の銀行の定期預金と比較すると、
定期預金では、利息を含めて、
10年間2万円ずつ貯めていけば、
240万円242円貯まりました。
しかし、株式に投資をすれば、
上記のように、10年間で、
25万6316円が上がる可能性もあれば、
定期預金で貯めていくより、
240万242円(定期預金残高)
-25万6316円(損失の仮定額)
=214万3926円
定期預金でお金を積立てていくより、
家計の資産が減る可能性のあるのです。
なお、この会社の業績が良ければ、
株式を保有している期間、
配当金も受けることができるかもしれません。
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リスクを許容できる尺度
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さて、このようなリスクと、
どのように向き合えばいいのでしょう。
・そもそも、元本が割れる金融商品に、
毎月2万円ずつ投資をしても、
家計収支に問題は生じないのか?
・なぜ、2万円という金額に決めたか、
家計から毎月2万円の出費は妥当なのか?
・どのくらいの利回りを期待して
(上記のように年2.0%)、
何年間投資を続けて、
いくら収益を得る予定か?
・損失額は、いくらまで許容できるか?
・損失が続き、元本を割り込む時期が続いても、
動揺しないか、
またそのときに、どのような行動がとれるか?
といった、将来にわたる家計の収支や
投資をするその方自身のメンタル、
これらの許容度の尺度を知ってから、
元本が保証されていない金融商品に
投資を始めていくことも、
損失が出た時に、
家計にも、その方のメンタルにも、
ダメージを被らないために大切なことです。
もっとも、実際の投資では、
10年以降もこの会社に投資を続けて、
株価が持ち直すこと、
また、株価が低迷し続けると、
損切りをして損失を確定して、
この会社の株式を手放すかもしれません。
とはいっても、
このような行動を行えるかは、
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このリスクを許容する尺度は、
家計の収支や投資の経験によって、
変わっていくものです。
そこで、投資を始める手がかりとして、
ここのところ話題に上っている、
NISAとIDeCoを利用してもいいでしょう。
最後に念のために、
すでにご存じの方もみえるとは、
思いますが、
NISAとIDeCoの特徴について確認いたします。
NISA(ニーサ:小額投資非課税制度)とは、
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資して、
売却した時に得られる利益や配当金収益には、
約20%の所得税と住民税がかかります。
しかし「NISA口座(非課税口座)」内で、
毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から、
得られる利益や収益が非課税になる制度です。
2024年からは制度改革が予定されています。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
参照してください。
また、IDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)とは、
掛金、運用益(定期預金、保険商品、投資信託を運用)
そして給付を受け取るときに、税制優遇措置のある
私的年金な制度のことです。
詳細の仕組みは、国民年金基金連合会のHP
https://www.ideco-koushiki.jp/guide/
を参照してください。
ふたつの制度も、
あらかじめ定められて金融商品を運用したとき、
税制の優遇のある制度です。
しかし、一部の金融商品を除いて、
元本割れする金融商品に投資して運用します。
従って、リスクの許容度を図りながら、
元本が保証されていない金融商品に、
投資を始めるには、
利用してもいい制度だと思うのです。
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なお、このシリーズは次のように、
進めてまいります。
1.年金の受給額に間違いはないのか(前回)
2.退職金で住宅ローンを完済してもいいのか(前回)
3.NISAやIDeCoと元本割れの心配(今回)
4.保険に入る本当の理由がいまひとつわからない
(次回以降)
5.住宅は所有すべきか賃貸でいいのか(〃)
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◆ 今週のポイント
リスクがもれなく付いている
金融商品に投資することは、
資産形成の基本、
としましょう!
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◆ 編集後記
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資産運用をする金融商品に、
元本が保証されている金融商品は、
「ない!?」
「……!?」
人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第527号)
Photo by photo ac
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