「こんな相談をしてもいいですか?」

と、心配しながら相談にみえる方がいます。

 

その相談内容は、相談者によって違います。

しかし、早急に対応が求められるケースも

多くあります。

 

そこで、生じている問題に

早急に対応していただくため、

不定期ではありますが、

「こんなこと相談してもいいのシリーズ」を

始めることにいたしました。

 

今回は、その1として、

「実家の土地は父兄弟の共有名義だった」

というテーマでお話いたします。

 

構成は次の通りです。

・Aさんの相談内容

・今回の登場人物

・何が問題なのか?

・解決策

・問題の起こった背景

・<参考>相続登記の義務化

 

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Aさんの相談内容

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まずは、問題が発生した経過から、

お話いたします。

 

Aさんは、両親が亡くなって、

現在は、空き家となっている

Aさんの実家を、売却しようとしていました。

 

そこで、Aさんは、

売却専門の不動産会社に、

売却の依頼をしたところ、その担当者から、

思ってもいないことを言われたのです。

 

担当者「Cさんは、Aさんのおじいさんですか?」

Aさん:「はい、そうです」

担当者:「売却しようしている実家ですが、

建物はお父さんの名義で登記されています。

しかし、土地はCさん名義になっています。」

Aさん:「どういうことですか?」

担当者:「このままでは、実家は売却できません」

と、思ってもいないことを言われたのです。

 

そこで、Aさんはわたくしのところに、どうしたら、

実家を売却できるか。その相談にみえたのです。

 

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今回の登場人物

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ここであらためて、

この記事での登場人物を紹介いたします。

 

Aさん:現在48歳。44歳の妻と大学3年と

1年の子どもの4人家族。Aさんは一人っ子。

 

実家を離れ地方の大学に進学、その土地で

就職、結婚もして家族を持ち、マイホームも

所有している。

従って、実家に戻る予定はなく、

築古で空き家になっている建物と土地を

売却しようとしている。

 

Bさん:Aさんの父親。2カ月前に80歳で他界した。

Bさんは5人兄弟の末っ子。

Aさんの母親もすでに他界している。

 

Bさんが住んでいたAさんの実家は、

Bさんが結婚した時に、

Bさんの父Cさん名義の土地に、

実家を建てその登記もしている。

 

Cさん:Aさんの祖父。Aさんが売却しようとしている

実家の土地の登記簿の名義人。

 

それでは、まず、問題を整理します。

 

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何が問題なのか?

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現在、Aさん実家の土地の登記簿は、

Cさんが亡くなったあと、

父のBさん兄弟の共有名義、

Bさんを含めた5人兄弟が均等な持ち分で、

土地を所有している状態になっています。

 

共有名義の土地を売却するには、

所有者全員の同意が必要です(民法251条)。

 

従って、

上述の不動産会社の担当者が言うように、

現状では、この土地の売却はできないのです。

 

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解決策

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この問題を解決するための手順を

お話しします。

 

Aさんが、Bさんから実家の土地と建物を

相続する手続きを、

ここでは相続登記をすることです。

 

Aさんに兄弟はいませんし、

両親も亡くなっていますので、相続することは

1点を除いては容易です。

 

その1点とは、土地の相続登記をすることです。

 

この登記をするには、

まず、祖父のCさんから父のBさんへの

相続登記が必要です。

 

Bさん兄弟、Aさんにとっては、

伯父や伯母全員から

 

Bさんの兄弟が存命であればいいのですが、

すでに、亡くなっている兄弟がいればその相続人、

具体的には、通常Bさんの甥や姪から、

 

また、その甥や姪が亡くなっていれば、

その相続人から、

 

「遺産分割協議書」を作成するための同意、

それに自署と実印の押印、印鑑証明書をもらい、

Bさんの相続人であるAさんも含めて、

当事者全員が同意して、

相続登記をすることが必要です。

 

すんなりと、

各当事者が同意くれればいいのですが……。

 

Aさんにとっては、当事者に会うだけでも

手間も時間も費用もかかることでしょう。

 

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問題の起こった背景

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すでにお気づきだと思います。

 

このような状況になった原因は、

BさんがCさん亡くなったときに、

土地の相続登記をしていなかったことです。

 

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<参考>相続登記の義務化

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今回のような事例を防ぐためにも、

令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。

 

詳しくは、法務局のサイトをご覧ください。

あなたと家族をつなぐ相続登記

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00435.html

 

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◆  今週のポイント

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相続の手続きは、

 

親自身ができることは、

 

生前に親がしておく、

 

他界後のことは、

段取りを相続人に伝えておく、

 

そのひとつの方法が、

 

遺言書を作成しておくことでしょう!

 

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◆ 編集後記

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相続税のかからない相続の時は、

 

相続にかかわる諸手続きが、

 

なおざりになりかねません!

 

人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第516号)

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