私は、以前「空き家」を物置きに使うより、
「空き家」を宝ものとして活用する提案を
いたしました。
(2022年8月12日発行、
『物置きの「空き家」はお金を生む原石だ!』)
この記事を読んでくださった方の中から、
「確かに「空き家」は宝ものになるけど、
それだけではない」といったご意見を、
いただいています。
そこで今回は、
私が、日頃の個別相談業務の事例から、
親から子どもが、
活用方法を考えずに相続してもらった後、
子どもが困る「空き家」の典型的な事例と、
その対応策を、お話いたします。
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将来の価値を考え実家を相続する
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相続税がかかるほどの資産価値のある
実家ではないけど、相続しておけば、
将来、
・自分の子どもに住まわせてもいい
・賃貸にして貸してもいい
・売却してもいい
といった、活用ができるかもしれない。
といったことを思い、
すでに他の場所に持ち家を所有している
子どもが、具体的な活用法を決めることなく、
実家を親から相続することがあります。
このような思いで、
Aさんも実家を相続しました。
ここからは、Aさんの体験を例に、
お話を進めていきます。
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「空き家」が物置きになる原因
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数年前に、Aさんが相続した実家には、
相続後も、衣類や食器類も、
そして家のにおいも
親が生活をしていたままです。
しかし、現在は「空き家」の状態です。
つまり、世間的には「空き家」を
物置き代わりに使っている状態です。
現在、Aさんの住んでいる住宅が手狭で、
使わないものを、
実家の「空き家」に運ぶこともあるそうです。
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物置きの内容に価値あるのか?
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実家を、物置きとしてのスペースが確保できて
いいようにも思えます。
Aさんが、物置きにおいてあるものには、
親の思い出の「品物」としての価値は
あるでしょう。
そのなかには、
売れば数十万円から数百万円の値が付く
古美術や骨とう品として、
金銭的価値があるかもしれません。
しかし、多くのものは、
果たして価値のあるものでしょうか?
客観的にあえて厳しく言えば、
値段が付くようなものではないけど、
捨てるのには忍びない、
処分に困っているものかもしれません。
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子どもが途方に暮れる
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実際に、
Aさんが実家を相続したあと、
次のようなことが起こったのです。
それは、将来、Aさんの子どもに、
住まわせてもいいと思っていました。
しかし、
Aさんの子どもには子どもの人生設計があり、
Aさん自身と同様に、
相続した実家に住むことはなかったのです。
また、実家を賃貸や売却するにしても、
そのためには、家の中ものをすべて処分して、
文字通り「空き家」にすることが必要です。
しかし、
Aさんは、物置きとして使っていたため、
文字通りの「空き家」にするためには、
テレビなどは自分で処分することはできず、
物置きにおいてあったものを処分する費用が、
必要になります。
しかも、Aさんは物置きにおいてあるもの
すべてを処分しがたく、他の場所に、
賃料を払い、そのスペースを借りることにも、
なりかねないのです。
ほかに、実家を賃貸で貸すには、
「他人」が住めるように、
リフォームをする費用も必要になります。
ただし、費用をかけて
実家を賃貸や売却できればいいのですが、
実家が最寄りの駅から遠いといった、
立地などに問題があり、
賃貸で貸したり、売却したりすることは
現実問題としては難しいようです。
Aさんは、相続したときの
思い通りにはならず、
途方に暮れてしましました。
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相続してもらう価値があるのか?
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さらに言えば、
Aさんは実家を相続してから、
毎年、固定資産税などの納付も必要に、
なっています。
Aさんが相続して、
実家を維持する、また処分するための
金銭的な負担は、
Aさんが相続する前には必要のないお金です。
つまり、Aさんは実家を相続することで、
一時的には、
家計からの支出が増えても、
結果として、
家計収支がプラスになればいいのです。
しかし、マイナスになるのであれば、
単に、負の遺産相続に過ぎなくなります。
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親の持ち物を引継ぐ
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Aさんに限らず相続は、
親の持っていた有形無形のものを
引継ぐことです。
従って、金銭的価値のあるものばかりを
引継ぐのではありません。
だからこそ、
親は、相続する実家が物置き代わりの
「空き家」にならないように、
生前に、対策を打っておくことも大切です。
たとえば、親が生活している間は必要でも、
子どもに相続した後は、
処分してほしいものは、
その処分の費用を子どもに渡しておくこと。
また、古美術や骨とう品といった、
価値はあるけど、子どもが維持していくには
金銭的にも、スペース的にも
難しいのであれば、
親自身が、親の顔で、
博物館や学校などに寄付したり、
専門の業者に売却したりしておくことも
必要でしょう。
なぜなら、相続は、
親が、
子どもやその家族がさらに繁栄するために、
支援する手段のひとつだからです。
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■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ
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「空き家」を物置き代わりに使うことは、
物置きをさらになにに活用するのか?
決めておいて使わないと、
単に、家計に負担のかかる無駄使いに
なりかねません!
人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第506号)
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