生涯ひとりで過ごすと決めたら現役中に準備すること
<後編>理由はいろいろあれども決めるのは自分
生涯ひとりで過ごすと決めたら、
現役中に準備するリタイアメントプランニング、
老後の生活や資金計画として、
2.生活する費用は生涯あるか
3.自分の財産はどのように処分するのか
先回(5月20日)は、このうちの
「1.終の棲家(ついのすみか)はどこにする」
をテーマに、
生涯、ひとりで過ごすと決めたAさんを通して、
ひとりで生活すると決めても、
自分だけでは決めることのできないこともある。
ということをお伝えしました。
今回は
先回のような様々な環境で生活するにしても、
決めるのは自分であることを、
2.生活する費用は生涯あるか
3.自分の財産はどのように処分するのか
を、テーマにお伝えいたします。
なお、今回も先回も登場いただいた、
登場いただきます。
それでは、
テーマ2.から始めましょう!
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2.生活する費用は生涯あるか
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まず、心配になるのが、
「生涯の生活費のこと」と、
私のところに相談にみえる方から、
耳にすることがあります。
確かに、70代や80代と高齢になってから、
家計が破たんしては、
兄弟や身寄りも高齢になっていることも多く、
善後策を考えるにしても、
困難をともないます。
そこで、現役のうちに、
現在の家計収支と貯蓄
そして将来得ることができるであろう収入、
人によっては資産運用の収益から、
老後生活のしかたを決めておくことが
大切になります。
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2-1.家計支出額の変化を調べる
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そのためには、
現在の家計収支をまず把握して、
そして、
老後の生活の費用も把握することです。
家計の収入は、
今の生活を続けていくことを前提にすれば、
将来もらう年金も含めて、
生涯、得る大まかな数値が把握できます。
しかし、家計の支出の方は、
現在の生活費を基準値として、
推測するしかありません。
たとえば、ひとり世帯の家計において、
現役の生活と老後の生活とでは、
歳とともに食費や遠方への旅行費用などは、
少なくなるかもしれません。
しかし、反対に医療費や介護の費用は、
増えるかもしれません。
従って、
家計から出ていくお金の内容は変わっても、
金額的には、
変わらないと考えておくことができます。
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2-2. 老後の家計支出額、減少の対策
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また、老後の生活に入ってから、
今までの生活が維持できなくなり
その時の収入に応じて、
生活の質を落とすことは、
「こころ」に病を抱える原因になりかねないと、
医師から聞いたこともあります。
老後の生活に入ってから、
仕方なく生活の質を落とす可能性があるならば、
現役中からの対策を打っておくことが、
たとえば、
その老後の家計支出額と同額の生活を、
今すぐに始めることも必要です。
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2-3.貯蓄と運用
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老後の生活費と年金収入の差は、
現役時代から貯めてきた貯蓄や、
資産運用の収益を取り崩して、
埋め合わせます。
ただ、株式投資や投資信託といった、
投資した元本が、
運用次第では、元本以下の金額になってしまう、
いわゆる元本が保証されない金融商品で、
運用することには、馴染まない人もいます。
そのような人は、
銀行の預貯金などの定期預貯金といった、
元本の保証されている金融商品を運用して、
確実に貯蓄額を増やしていけばいいのです。
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3.自分の財産はどのように処分するのか
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次に、ひとり暮らしの人が亡くなった時に、
その財産はどのように処分するのか、
生涯ひとり暮らしをすると決めた
Aさんを例にみてきます。
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3-1.ひとり暮らしの人の相続
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Aさんの自分の財産は、
自分の持ち物と言いかえることもできます。
Aさんが亡くなったあとの持ち物は、
Aさんの親が生きていれば親が相続します。
すでに親が亡くなっていれば、
Aさんの兄弟姉妹が相続します。
このAさんの親や兄弟姉妹のことを
法定相続人といいます。
また、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、
その兄弟姉妹の子ども、
つまりAさんの甥や姪が相続人となります。
この甥や姪のことを代襲相続人といいます。
なお、Aさんの兄弟姉妹の孫は、
代襲相続人にはなりません。
また、「遺贈(いぞう)」といって、
Aさんが、生前に遺言書を書いて、
法定相続人または法定相続人以外の特定の個人や
地方自治体、NPO法人といった団体や法人に、
Aさんの持ち物の一部、または全部を
ゆずることもできます。
相続をするにあたり、遺贈も含め、
Aさんの持ち物の価値によって、
もらった人が、
相続税を納付することもあります。
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3-2.負の遺産になりかねない
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次に、Aさんが亡くなった場合に、
Aさんの持ち物はどのようになるのか、
具体的な状況をみていきます。
たとえば、
Aさんが実家に住んでいて亡くなった場合は、
既に両親が亡くなっていれば、
Aさんの兄弟姉妹が相続することになります。
すでに、兄弟姉妹がほかのところで、
持ち家で住んでいれば、
実家は、
売却してその収益を兄弟姉妹で分けます。
しかし、だれも住まないで、
空き家のままにしておいても、
兄弟姉妹のうちのだれかに、
固定資産税の納付通知が届くことになります。
また、Aさんが、
兄弟姉妹のうちの家族と同居していて亡くなれば、
相続の内容は変わってくるでしょう。
Aさんは、この実家のケース以外でも、
単に持ち物を残していくだけではなく、
何らかの対策をして、旅立たないと、
負の遺産を残して亡くなったことに、
なりかねないのです。
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3-3.自分のことは自分で決める
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つまり、Aさんは、生前に、
自分の持ちものをどのようにするのかを、
決めておくこと。
またみずから処分しておくことも大切です。
たとえば、
骨とう品や美術作品の収集家であれば、
上述の遺贈するところのほかに、
近くの博物館や美術館に寄付する。
また廃棄するのに、費用がかかるのであれば、
自ら処分するか、
その費用を、Aさんが亡くなったあとに、
処分を依頼する人に託す。
「立つ鳥跡を濁さず」といわれるような、
自分のことは自分で決める、行動計画を、
ここは結構、時間も費用も掛かるようですので、
老後の生活に入る前から
準備しておいた方がいいでしょう。
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ひとりですべてのことはできない
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とはいっても、
ひとりですべてのことはできません。
従って、
老後の生活を始める前から、
兄弟姉妹や親戚、縁者に、
または信託が委託できる個人や法人に、
Aさんの後見人になってもらうことを、
決めておくことが大事です。
後見人になってもらうには、
それ相応の費用が必要になるかもしれません。
しかし、
その負担以上に信頼できる後見人がいれば、
安心したひとりくらいができることでしょう。
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■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ
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ひとり暮らしは、
自分の意思で、
大方のことが選択できます!?
というより、
しなくてはならないのです!
人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第493号)
Photo by photo ac
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