No.1030 住宅ローン返済表の活用方法 ~繰上げ返済編~
今回は、住宅ローンを返済するときに、
住宅ローンを契約すると、
借入先が作成し渡してくれる書類の
ひとつに、「ローン返済表」があります。
この「ローン返済表」には、様々な
活用方法があります。
そのひとつとして、繰上げ返済の
検討をするときに使えます。
そこで今回は、
その活用方法をお伝えいたします。
「ローン返済表」は、
から、ご覧いただけます。
または、
https://www.makino-fp.com
牧野FP事務所のホームページから、
「週刊メルマガ」をクリックして、
ご覧ください。
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「住宅ローン返済表」とは、
この名称や発行してくれる時期、
記載内容は、
借入先の機関によって違うかもしれません。
しかし、金利が定まっている期間の
返済月ごとの借入残高や毎月の返金額の
なかの利息分と元本返済充当額分の
内訳は、記載されているでしょう。
フラット35のような
全期間固定金利の住宅ローンであれば、
返済終了までの「ローン返済表」を
作成してもらえる書類です。
なお、ご自身でも金融機関のサイトで、
簡易な返済のシミュレーションを
することもできます。
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ローン返済表の中身
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今回サンプルとしてご用意しました、
「ローン返済表」は、
Aさんが、自宅を購入するのに、
○○銀行から住宅購入資金の融資を受け、
返済に住宅ローンを契約したものとします。
住宅ローンの内容は、
・借入額:3000万円
・返済期間35年間(420回)
・全期間固定金利
・金利:年1.0
・毎月の返済額:84,686円
・ボーナス返済はなし
とします。
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毎月の返済金額の内容に注目
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冒頭でお話しましたように、
今回は、Aさんの住宅ローンを参考に、
「ローン返済表(※)」の話しを
進めていきます。
では、「ローン返済表」をご覧ください。
最初に、毎月の返済額を見てみます。
毎月の返済額は、1回から420回まで、
35年間、毎月84,686円です。
毎月の返済額は、
表にも記載がありますように、
利息と元本充当額(以下「元本分」と記述)を
合算した額です。
1回目の返済額の内訳は、
利息25,000円+元本分59,686円=84,686円
です。
2回目の項目の残高が、
3000万円-59,686円=29,940,314円
と記載されているので、
確かに1回目に、
59,686円分は返済しています。
また、35年後420回目、
最終の返済額の内訳は、
利息71円+元本分84,615円=84,686円
この支払いで返済完了となります。
つまり、毎月の返済額は84,686円でも、
420回、毎回返済している内容は、
利息は、
25,000円から71円に減っていて、
元本分は、
59,686円から84,615円に増える、
変動しています。
住宅ローンの返済を始めたばかりの方が、
「利息ばかり支払って、
元本はなかなか減らない」
と嘆いているのを聞くことがありますが、
もっともなことだと思います。
(※)再記
なお、記事のなかで使用している
「ローン返済表」は、
から、ご覧いただけます。
または、
https://www.makino-fp.com
牧野FP事務所のホームページから、
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ご覧ください。
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利息と元本分の返済の推移
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利息を多く払っているうちに、
繰上げ返済の効果があることは、
周知されていることです。
では、具体的に毎月同じ返済額でも、
返済早期と末期では、
利息と元本分の内訳はどのくらい変わるのか?
返済開始から3回目以降の3年間36回分
39回目までと、
返済完了する最後の3年間、385回から
3年間420回目までを、
極端な期間ですが、「ローン返済表」で、
シミュレーションをしてみました。
繰上げ返済分の「ローン返済表」は、
ご提供しておりません。
手計算で作業をしていただくと、
繰上げ効果を実感していただけるでしょう。
まずは、
39回目までを見ていきます。
この3年間の返済総額は、
84,686円×36回=3,048,696円です。
その内、
・利息分は862,914円
・元本分は2,185,782円
となります。
385回から3年間420回目までを
見てみます。
この3年間の返済総額は、
3回目から3年間36回分と同様、
84,686円×36回=3,048,696円です。
その内、
・利息分は46,507円
・元本分は3,002,189円
となります。
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早期に繰上げ返済すれば効果がある
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では、上記の2つの期間に、
繰上げ返済をした場合の効果です。
まず、住宅ローンを組んだとおりに、
35年間返済していくと、
3回目から39回目まで、
この金額は3回目から39回目までの「利息」
の合計の額です。
3回目の返済時に、
3回目から39回目までの36回3年分を、
毎月の返済額84,686円×36回=3,048,696円
3,048,696円を一度に返済すると、
つまり繰上げ返済をすると、
5,567,998円(1)-4,389,148円(2)
=1,178,850円(3)
1,178,850円(3)返済利息が安くなります。
なぜ安くなるのでしょう?
それは、利息は、元本の残高で計算するために、
3,048,696円繰り上げて返済した分、
利息の対象となる、
元本が少なくなったためです。
また、返済も371回目に完済できます。
当初の420回から49回分返済期間が短くなり、
返済後、30年と11カ月で完済できます。
次に、返済完了する最後の3年間、
385回から3年間420回目までの場合です。
385回目に、
3年分3,048,696円まとめて繰上げ返済すると、
利息の総支払額は5,521,490円(4)になります。
35年間返済するより、
(1)より利息総支払額が46,508円(5)安くなります。
返済は、384回32年間で、
正確には、最後の返済時に、
端数の46,519円を支払い返済が終了します。
3,048,696円おなじ金額で、
繰上げ返済をしたのに
繰上げ返済をする時期で、
利息の総支払額が、
(3)-(5)=1,132,342円違います。
その理由は、
すでにお気づきのことでしょう。
毎月の返済額は同じでも、
利息分は、1回目は25,000円、
420回目は71円と、
返済当初に多く支払っているからです。
繰上げ返済と家計
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このように、繰上げ返済は、
返済する時期によって効果が変わってきます。
ただし、闇雲にお金を貯めて、
繰上げ返済をすれば良いとは言えません。
なぜなら、
また繰り上げ返済をすることによって、
手元の現金は減るからです。
返済後に急に現金が必要になって、
カードローンなどで、
融資を受ける場合、
住宅ローンの返済金利より
必ずと言ってよいほど、
その金利は高くなります。
繰上げ返済をする時は、
今後の家計の推移を見極めることも
注意すべき大事なところです。
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繰上げ返済と退職金
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また、退職金を使って住宅ローンを
完済する相談を受けることもあります。
上記でシミュレーションしたように、
完済間近に繰上げ返済をしても、
住宅ローンを完済したら、
こころは大いに晴れても
利息の軽減額は、
ささやかなものかもしれません。
大事なことは、
老後の大事な生活資金である
現金が、手元からなくなることです。
繰上げ返済をするのであれば、
早期の方が良いようですが、
住宅ローン減税の税制優遇のメリット、
そして、将来の家計推移を検証して、
繰上げ返済の額、
それに時期を決めることが大切です。
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■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ
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繰上げ返済も計画的に!
実行したときの効果を検証しながら、
その時期と金額を決めておいて、
実行するものです!
人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第449号)
Photo by photo ac
「人生の添乗員」「人生の行程表」は牧野寿和の登録商標です