No.804 老後の起業と家計を考える

 

数年先に定年退職を控えた、

現在、企業に勤めている方で、

退職後の生活設計の相談にみえたときに、

 

退職したらに、

永年の夢をかなえるために起業したい。

 

と、話されることがあります。

 

 

そこで、今回は、

 

私の長年に渡る、

ファイナンシャルプランナー(FP)業務の

相談経験を基に、

 

現在の務めを辞めたあと、

定年退職後に起業する場合の、

家計との関係を考えていきたい思います。

 

ただし、FPの主な業務は、

老後の人生設計を行う、

リタイアメントプランニングを含め、

 

相談者の現在、またこれからの収入と支出、

資産を含めた貯蓄を

基本的なベースとした、

プランニングをして、また提案することです。

 

従って、どのように起業したらよいか、

自分はどの業種に向いているかなどの、

いわゆる「起業の方法」に関わるお話でなく、

 

起業と家計収支との関わりの話になることを

ご了承いただきたく思います。

 

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老後に起業するとは

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老後の生活の相談にみえた方に、

 

具体的に、老後の生活はどのようにしたいのか?

 

と伺うと、

 

既に、個人事業主として起業の準備を始めていて、

事業での収入の予測を立て、

同時に進行する老後の生活における

家計収支と貯蓄の推移を計算している方がみえます。

 

一方で、五里霧中の状態で相談にみえる方もいます。

 

私は、これまでも、

このメールマガジンの記事の中で、

何度となく、老後の生活をどのように過ごすのか?

 

老後になってから考え始めては、

 

何ら考えることなく、

5年や10年はすぐに過ぎて、

 

「もはや、この歳(70歳代)になって、

今更なにをする!?

このまま、余生が無事に過ごせればよい」

の状況に成り兼ねないのです。

 

実際、家計的には、

何事もなく生涯を終える方もみえます。

 

しかし、年金の収入だけでは、

生活が成り立たなくなることもあります。

 

最悪の場合は、

老後破たんしかねないと、

警鐘を鳴らさせていただいております。

 

ましてや、老後に起業すれば、

家計の収入が増え、

お金の心配のない老後が送れるかもしれません。

 

ただし、起業した事業がうまく回らないと、

始める事業の規模にもよりますが、

 

年老いてから、

いらぬ苦労を背負うことになるかもしれないのです。

 

歳を追うごとに、

融資を受けるにも、

それなりの資産を所有しているなどの、

返済能力がないと融資は受けにくくなり、

資金繰りも難しくなります。

 

通常、事業を起こすには、

その事業が軌道に乗るまで、

安定した収入を得るためには、

お金を使います。

 

そのお金を無駄に使わないためには、

 

起業準備に関しての詳細は、

 

・お近くの商工会議所や商工会

・公的な機関、

・現在のお勤め先に、退職後の企業支援の部署があればその部署

・専門のコンサルタント事務所

 

などで、専門家のアドバイスや支援を受けて、

的確な準備をすることも可能でしょう。

 

それに、これまで培った人生経験と、

人との信頼関係によるその方からの助言は、

老後企業の大きな武器といえば武器かもしれません。

 

 

従って、老後に起業するには、

時間をかけた十分な準備が必要となります。

 

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家計との調整

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どんな業種で起業するかにもよりますが、

 

起業するには、

一般的に、開業するための準備資金と

事業を維持するための費用が必要です。

 

どれだけのお金が必要になるかは、

実際に計算をしてみないと分かりません。

 

ただ、この計算をする段階で、

 

費用を掛ける割に、収入の期待ができず、

 

起業を断念する場合もあるようです。

 

まだ、年齢的に若いのであれば、

強引に事業を始め、

収益が上がるように、

順次、業務の内容を見直して、

修正することも可能でしょう。

 

しかし、歳を負ってから、

強引に事業を始めても、

 

事業がうまく成り立っていかない場合は、

 

最悪の場合、

事業とともに、

家計も破たんすることになりかねないのです。

 

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どのような事業をするのか

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老後に起業される業務の形態としては、

 

・今まで勤務した企業の業務の一部を個人で請け負う

 

・現役の間に培った趣味を事業化する

 

・興味はあるが、まったく知らない業種で事業をしてみる

 

さまざまあるでしょう。

 

 

そして、実際に事業を始めてみると、

 

想定以上の収益を上げることもあるでしょう。

 

収入が上がれば、

個人事業の場合は、

所得税、住民税や消費税の納付が、

 

法人事業の場合も

法人税など各種税金の納付が必須です。

 

 

その資金繰りも大切になることも、

念頭に入れておくことが必要です。

 

また、うまく事業が回っても、

事業主が年を老いていけば、

 

・子ども

 

・親戚

 

・事業を売却

 

などの事業承継も考えておかなくてはいけません。

 

事業主が、認知症に罹ってからでは、

家族に迷惑がかかります。

 

また、その家庭の家計にも、

思わぬ出費が必要になることもあります。

 

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起業には準備がいる

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ここまで、老後に起業する

基本的なところを見てきました。

 

老後の起業がうまくいかないと、

家計に大きなダメージを与えます。

 

従って、失敗は許されない、

といっても言い過ぎではありません。

 

また、事業主にとっても、

うまくいかなかった場合の心身へのダメージは、

 

その後の生活の致命傷になりかねません。

 

現役の時代から、

老後事業の始め方と終わり方も決めた、

シナリオと予算を創っておいて、

 

起業することが大切なのです。

 

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■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ

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老後に起業できる目安の一つに、

 

当面、事業収益も家計収支も

 

ともに成り立つか、

 

ということです。

 

人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第403号)

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