食堂かたつむり / 小川糸 | mfcs's favorite things

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純粋なる音の繋がりは、人にどこまで感動を与えることができるのでしょう... とりあえず私の場合はこんな感じです。

先日読んだ ツバキ文具店 が面白かったので、次に、この面白いタイトルのついた小説を読んでみました。ちょっとネタバレ気味ですが、冒頭部分を少しだけ:

レストランでアルバイトをしながらフィアンセとの幸せな生活を想う女性。
しかし(理由はあえて語られていませんが)どうやらうまくいかなくなってしまい、ショックのせいか女性は声を失い、無一文同然の状態で故郷の実家に帰ります。そこには折り合いの悪い母親がいて、何故かペットとして飼われているブタの世話を押し付けられます。

やがて、自分の特技を生かし「レストラン」をはじめます。基本1日1組、完全予約制。お客様と事前に面談を行い、そのお客様に満足して頂くためにスペシャルな料理を振舞うという、何ともユニークな設定です(商売として成り立つかどうかはこの際気にしないことにしましょう)。

いろいろな事情を持つお客様がお見えになります。癒したり、ムードを盛り上げたり、じっくり考えてもらったり。登場する料理の品々がまた逸品で、挿絵もなく文章だけで表現されているのですが、どれもとても美味しそうです(^^)

料理の制作過程も書かれていて、臨場感もあります。なかでも印象深かったのは、いわゆる食肉用家畜をさばくシーンが詳細に描かれている箇所があり、読み進めるうちに、あぁ人間は生かされているのだ、肉・骨・血、すべてを感謝して頂かなくちゃ、という気持ちを改めて感じたこと。

そして、折り合いの悪かった母とはどうなっていくのか。このあたりは人間味があって、読了後はとてもほっこりします。いい物語でした。