ボトルネック / 米澤穂信 | mfcs's favorite things

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純粋なる音の繋がりは、人にどこまで感動を与えることができるのでしょう... とりあえず私の場合はこんな感じです。

兄の死、2年前の恋人の死、殺伐とした両親との会話。物語の主人公で語り部でもある嵯峨野リョウは高校1年生でありながら、背負うものが多すぎたのか「大抵のことは受け入れることができる」という、少し冷めた青年です。

東尋坊の断崖で突然の眩暈... 落ちた?と思えば、次の瞬間、金沢市街の河原に瞬間移動?... 大抵のことは受け入れられるけど、この事象は一体?... 自宅に帰ると見知らぬ女性が居て「ここは私の家だ、アンタ誰!」女性の名は嵯峨野サキ、高校2年生。

超常現象と言うべきパラレルワールドが展開されてゆきます。実はリョウには産まれたこなかった姉がいて、丁度サキの年齢と重なっている。この設定はとても興味深いですね。

総論的にはどちらも似たような世界なのですが、大事なところが違っている。サキ曰く「間違い探し」を二人で始めていくのですが、リョウの心境は暗雲立ち込めてきてしまいます。ちょっと可哀想なくらい。。。そんな中、次のような独白する場面があります。引用します。


 できれば距離を取りたい相手に、やむを得ずぴたりとくっついている。全然そんなつもりじゃないのに、いつの間にか甘えている。... しかもそれでいて、あまり引け目も感じない。
 なるほど。
 家族のようだ。


心に響く一節でした。

ボトルネック (新潮文庫)/米澤 穂信

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