
8/3 日経新聞
「週12時間の正社員 日本社会にイケアが一石」より
家具小売り世界最大手イケア(スウェーデン)の日本法人、イケア・ジャパンのピーター・リスト社長は大学で心理学を学んだ。
英国やオーストラリアなどで店舗運営や物流をはじめ様々な仕事に就いてきたが、一番関心があるのは人のモチベーションをいかにして高め、上手に成長させるかだという。
そのためには、どんな会社にしたらいいか。
まず、誰にでも成長できる機会があることだという。
性別、年齢、国籍などを問わず、そして正社員、非正規社員の区別もなく、自分の力を発揮でき
たり新しいスキル(技能)を習得できたりする。機会の平等を言っている。
さらに、いろいろな経験を積んで職業能力を高めていくには、「安心して長く働き続けられる環境が必要」。
具体的には、子育てあるいは親の介護などに時間を割くことになっても、仕事をあきらめずに済むことだ。
「長い人生のなかで、どんな局面に入っても仕事が妨げられないことが大事」という。
9月からイケア・ジャパンが始める新制度は、そうした要素をすべて満たすための改革だ。
人が成長する機会を平等に設けるため、いまのパート社員全員に正社員の人事制度を適用する。
正社員と同じように、ポストや報酬が上がる仕組みになる。
イケア・ジャパンは本社や国内8店舗を合わせて約3400人が働き、7割がパート社員。大がかりな制度変更だ。
いまの正社員は管理職の「マネジャー」や「チームリーダー」「フロアワーカー」といった職位の違いと、販売、管理などの業務内容によって報酬が決まる。
このマトリックス状の賃金決定方式をパート社員にも当てはめる。……
会社への貢献度によって昇格・昇給の道も開かれる。
パート社員と正社員の区分けの廃止をはっきり示すため、呼称も「コワーカー(ともに働く人)」で統一することにした。
もちろん、パートの人事制度を正社員と共通にするといっても、正社員と同様にフルタイムで働くのが難しい人は多い。
そのため柔軟な労働時間制度も新設する。これも改革の柱だ。
1週間の勤務時間を、12~24時間、25~38時間、39時間の3つから選べるようにする。……
じつはこの短時間勤務の仕組みは、いまフルタイムで働く正社員にとっても使いでのあるものだ。
正社員は週39時間勤務(現在の所定労働時間は週40時間)に移るが、育児、介護や資格取得の勉強などで労働時間を短縮したい状況も訪れる。
そうしたときは週12~24時間、あるいは25~38時間の勤務に移ることができる。フルタイムへの復帰も可能。
リスト社長の言う、「どんな局面になっても仕事を続けられる」環境をつくるための仕掛けといえる。
誰にでも、そして人生のどんな局面でも、働くことを通じて成長と自己実現の機会がある。
人が育てば組織も強くなる。
そんな会社をめざすイケア・ジャパンの改革は、正社員と非正規社員の二極化が進み、正社員の長時間労働が女性の活躍を阻むなかで示唆に富む。
正社員のあり方への問題提起でもある。……
まさしくワークライブバランスですね。
人が育ち、どんな局面でも働き続けられる人事制度。
モデルケースになってほしいと思います。
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