夏に、私が以前指導していたFC町田のスタッフから、

「東北の大地震のようすを見に行くので、バスを貸してもらえませんか?」

という連絡をいただいた。


なんでも、今、中1を見ているコーチが、私に似た考え方の人だそうで、

そういう場所を、子ども達に見せたい、

できれば、ボランティア活動をさせたい、

ということなのだそうだ。


FC町田は、全国を目指しているチームだ。

私が見ていたチームは、全国大会に行き、ベスト8になった。

そのメンバーの中には、今ではプロになり、

Jリーグで活躍している選手もいる。


そんなコンセプトのチームが、サッカーとはなんの関係もない、

「被災地を子ども達に見せる」という活動をする。


今回の震災、1000年に一度だという。

懸命に復興活動をしているが、

まだまだ被災当時のまま、というところがいっぱいある。

テレビなどでも盛んに報道されているが、

実際に目の当たりにした子ども達は、息を呑んだのだそうだ。



私は、サッカーのクラブとは言え、小中学生のチームなのだから、

サッカーに始まり、サッカーで終わるようなチームにしてはいけない、

という持論がある。


30年あまり前にムスタングを作った時から、

出来る限りそういう活動を取り入れてきた。

広島の平和公園(原爆ドーム)の見学、

バンガローでのキャンプ、

河原でのバーベキュー、

海水浴、

イチゴ狩り、

・・・・・・

今年は、世界遺産の合掌造りの家に泊まった。


こんなことをしても、もちろん、サッカーは上手くならない。

でも、何らかの宝物が、子ども達の心に残るはずだ。

それは、子ども達の心を豊かに育てていくはずだ。

テストの点のように、はっきりと数字に出るものではないけれど、

お金では買えない、貴重な経験になっているはずだ。


一般に、男の子は特に、展示物を見るのは嫌いだ。

博物館や資料館などに見学に行っても、足早に通り過ぎ、

「見ました。」とすまして言うことが多い。

ところが、原爆資料館では、それとは全く違う光景が出現する。

どの子も、じっと見ている。

どんなに勉強が嫌いな子も、

どんなにじっとしている子が嫌いな子も、

食い入るように見ている。

それは、そこにある展示物が、

「本物だけが訴えることの出来る、力のある資料」だからだ。


サッカーしかしない子にしたくない。

サッカーしかできない子にしたくない。

それは、「サッカー馬鹿」だ。


ムスタングの子ども達が、

「サッカー馬鹿」ではなく、

オールラウンドな子ども達に育って行ってほしい、

そう願っている。