なぜ、「ムスタング」というなまえをつけたのか。


「ムスタング」という戦闘機がある。

形の良い、高性能の戦闘機だ。

「ムスタング」というスポーツカーがある。

形の良い、高性能のスポーツカーだ。

だが、どちらも、チーム名を「ムスタング」にした理由ではない。


ムスタングとは、アメリカとメキシコの国境辺りに住む、野生の馬のことだ。

かなり荒々しい。


子ども達よ、野性的に育て!

少しぐらい辛いことがあっても、いや、

どんなに辛いことがあっても、

くじけず立ち向かっていける

強い人間に育て!

そんな願いがある。



試合をした。

抜かれても、取りに行かない子どもがいた。

相手がシュートを打とうとしても、止めに行かない子どもがいた。

相手にシュートを打たれても、見ている子どもがいた。

技術、戦術以前の問題だった。


今日の練習で、

シュートを、体で止める「練習」をした。

昔、東京都で3位になったチームの子ども達が、

同じ練習をして、

「こんなの、練習じゃない!」と、

半泣きで言った「練習」だ。


今まで出来なかった。

やったら、やめて行っちゃうんじゃないか、

と思っていた。


で、子ども達はどうなったか?

相手がシュートを打とうとするところに果敢に飛び込む、

ミロ、たつみ、ゆうご、……。

はじめは数人だったのが、どんどん増えていった。

泣く子はもちろん、半泣きの子もいなかった。

顔が引きつりながらも、飛び込んでいった。

こんな「練習」を、楽しんでいた。


途中から、雨が降り出した。

練習中止。

「えー、やめるの?」

「もっとやろうよ。」の声、声、声。

祥平が、

「雨で練習が中止になって、つまらなかった。」

と言った。


抜かれても、取りに行かない。

相手がシュートを打とうとしても、止めに行かない。

相手にシュートを打たれても、見ている。

これは、私の練習が悪かったのだった。


ムスタングの子ども達、

野性的に育ってきている。

子馬だが、ムスタングになりつつある。


反省の光と共に、

子ども達の行方にも、光が差してきた。