単純ヘルペスウイルス(HSV)

 

単純ヘルペスウイルスI、II型が引き起こす感染症で初感染では外陰部や腟に潰瘍と水泡を形成し、痛みが激しいことが特徴です(特に初感染ではウイルス量も多く、症状が激しいことが知られています)。

単純ヘルペスウイルス感染では外陰部の症状以外に発熱と鼠径リンパ節腫脹を伴い、子宮頚部や腟の病変部位から単純ヘルペスウイルスが分離されます。

 

再発型は、初感染の治癒後に神経根に潜んでいた単純ヘルペスウイルスが再燃したもので、症状は軽く、病変部位から単純ヘルペスウイルスが分離されないことが特徴です。単純ヘルペスウイルスの初感染と再発型では分娩管理方式が異なるため、両者を慎重に鑑別する必要があります。

 

妊娠初期のH単純ヘルペスウイルス感染による先天奇形の報告はほとんどないので、問題となる単純ヘルペスウイルス感染は子宮頚部、膣、外陰部に存在する単純ヘルペスウイルスの産道感染です(単純ヘルペスウイルス初感染では産道に多量の単純ヘルペスウイルスが存在することが多く、産道感染が高頻度で起こり、再発型単純ヘルペスウイルス感染では単純ヘルペスウイルスが少量のことが多く、産道感染は低頻度になります)。

 

 

病態:

単純ヘルペスウイルス感染による新生児ヘルペスは、全身型では赤ちゃんの死亡率が30%に達します。また、中枢神経型では赤ちゃんの60%に重篤な神経学的後遺症が残る、かなり

重篤な疾患です。

 

検査:妊娠36週以降に性器ヘルペスが発症した場合、単純ヘルペスウイルスを分離・同定し、IgGとIgM抗体(*1)を調べ、初感染か再感染かを判断します。

 

治療:単純ヘルペスウイルスに効果的なアクシロビル(経口、点滴、塗布)による治療を開始し、潰瘍形成が完治して疼痛などの症状がなくなるまで根気よく治療することが大切です。

単純ヘルペスウイルス感染時の分娩様式の決定:分娩時に外陰部に病変がある場合は、帝王切開を選択します。36週以降の単純ヘルペスウイルス感染で、分娩時に外陰部に病変がなくても、初感染の場合は発症が1ヶ月以内の場合は帝王切開を選択します。

 

なお、再感染の場合はこの感染期間の目安は1週間です。単純ヘルペスウイルス感染患者から生まれた新生児は目、口、

耳、鼻、性器より出生時にウイルス分離検査を行い、生後1週間は入院管理し、新生児ヘルペス感染発症の有無を検討します。

 

 

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