成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)

 

分娩後ママは赤ちゃんを母乳で育てますが、母乳栄養により感染する白血病ウイルスがあります。白血病を引き起こすHTLV-1ウイルスにヒトが感染すると持続感染が成立し、HTLV-1キャリア*になり、将来1,000~2,000に一人の割合で成人T細胞白血病(ATL)が発症します。

 

HTLV-1感染の潜伏期間は40年と長く、40歳未満ではATLは発症しないものの、いったんATLが発症すると予後は極めて悪い疾患です。ママがHTLV-1キャリアの場合に授乳を行うと10~30%の割合で母児感染が成立します。

 

人工ミルク使用により母児感染を防ぐことが出来るため、人工栄養が推薦されていますが、人工栄養児でも低頻度で母児感染が起こることが知られています。

 

従来HTLV-1感染防止のために母乳凍結融解や短期間母乳哺育を行うことも可能であるとされていましたが、現在では否定的です。

 

 

*HTLV-1キャリア

インフルエンザウイルスとは異なりHTLV-1に感染していても自覚症状はありません。また、HTLV-1に感染していても約95%の人は生涯白血病の発症はありません。

 

HTLV-1は感染すると血液中の白血球の1つであるTリンパ球に入り込みますが、侵入したウイルスに対する免疫反応が起こり、HTLV-1に対する抗体が作られます。

通常は抗体の働きで体の中からウイルスを取り除くことができますが、HTLV-1は侵入したTリンパ球の中の遺伝子の中にまで入り込んでしまうため、作られた抗体では取り除くことが出来ません。

 

HTLV-1は侵入したTリンパ球の遺伝子の中で生き続けるため、この状態を「持続感染=キャリア」とよびます。

 

 

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