ロイヤル・バレエ・ガラBプログラム感想 | 慧琳の鑑賞眼

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 Bプログラムも見て、ロイヤルを堪能してきました。Bプログラムは総じてコンテンポラリー作品は雰囲気が静かで似ていて、クラシックは演目がAと同じもの2つでダンサーが異なるという具合でした。私としては演目がかぶっていないほうが良かったなと思いました。

 

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"サラ・ラム、平野 亮一

これも世界バレエ・フェスティバルで見た演目で、またかーとは思ってしまいましたが、冒頭に来ると疲れていないからか、バランシンでも集中して見られることが分かりました。振付は変わり種サポートとポーズの盛り合わせ。デリエールから腕の間をくぐって方向転換するのってチャイコフスキー・パ・ド・ドゥでも入っていた振りで、バランシンの特徴の1つかしらんと思いました。
 

「不思議の国のアリス」より第3幕のパ・ド・ドゥ高田 茜、アレクサンダー・キャンベル

新国立劇場のアリスを見たことがない私にとっては初。髪型や衣装の色合いがかわいらしくて良いです。高田さんの表情は3階席でもよく伝わってきて、「不安」から「喜び」へと変化するパ・ド・ドゥということでよろしいのでしょうか。白赤タイツの人は何の役なんだろう。アリスに恋愛要素があったか必死で思い出そうとしましたがわかりませんでした。しかもずんぐりむっくりとはお前のことだろう。
 

「アフター・ザ・レイン」マリアネラ・ヌニェス、リース・クラーク

ヌニェスさまはピンクのレオタード、髪ざんばら。雨に降られ、部屋で服を乾かしている間の男女なのでしょうか、官能的に見えました。ヌニェスが、ブリッチのように床まで体を反らせる振付が2回ほど出てくるのですが、男性が支えているように見えて、腰をかがめていないのですよね。でも女性は手を付いていないように思える。どうやってるんだろうと双眼鏡を覗くのも忘れて見入ってしまいました。ヴァイオリンのピッチがブレブレでした。
 

「精霊の踊り」ウィリアム・ブレイスウェル

え、また?またソロなの?と思ってしまいましたが、シュツットガルトガラでも「ボレロ」をコロナ禍の祈りとする主催側の意向を考えると、ここでも「祈り」を入れたいのかもしれません。幕が開けると段差の上に上裸白タイツで立つブレイスウェル。「ラ・バヤ」のブロンズ・アイドルを彷彿とさせますが、終わりはセンター、舞台の端まで歩いてきます。平凡に踊ってしまうなあ・・・
 

「ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー」サラ・ラム、マルセリーノ・サンベ

ヌニェスさまから音楽がずっと静かで、眠くて眠くてどっかに行きたくなってしまいましたが、大きめスパンコールがついた衣装で、紫がかった照明で踊るパ・ド・ドゥ。ショーの裏側でしょうか、ラ・ラ・ランドで出てくるようなバーの雰囲気でした。ヴァイオリンがとにかくひどかったです。
 

「ラプソディ」フランチェスカ・ヘイワード、アレクサンダー・キャンベル

ここでは創作バレエっぽい長いチュールのスカート。ヘイワードも特に良いと思えず、死ぬほど眠かった。
 

「ドン・キホーテ」より第3幕のパ・ド・ドゥヤスミン・ナグディ、セザール・コラレス

私寝るのかと思いきや、さすがにドンキの音楽では起きていました。セザール・コラレス、バジルが当たり役、というようにチラシには書いてありますし、なるほど風を切る音が聞こえてきそうな身の振りでしたが、彼ってちょっと雰囲気が暗め、重たい感じ、そして粘着質な感じがしません?爽やかでないうえにマイナスの印象が加わるというか。動けるデカなだけ?衣装は白、背景は青という不思議な色の組み合わせに音楽がポヤポヤした感じで、6月の東京バレエ団とは大違いの雰囲気でした。まあこれもあり。ヤスミン・ナグディはフェッテも危なっかしいけどセーフよね、みたいな中途半端な感じがしてイマイチ。もう疲れた帰りたいと言わんばかりにタラタラ歩いていたのも鼻につくというか。
 
というわけで休憩時間で大いに眠りました。これを爆睡と言います。
 

「タイスの瞑想曲」サラ・ラム、平野 亮一

これってどっちかが巫女or僧侶で禁欲的なのをどっちかが誘惑する話の1部でしたっけ?もう調べる気力もなしに書いてしまいますが、初めて見た作品にしてはあまり感動しませんでした。。。
 

「インポッシブル・ヒューマン」(新作世界初演)エドワード・ワトソン

歌詞が英語で、はっきり"Impossible Human"という言葉が出てきますが、それに合わせてどんな振りをつけていたかもはや記憶にゼロ・・・とにかく肌も衣装も白いということのみ。
 

「マノン」より第1幕(寝室)のパ・ド・ドゥヤスミン・ナグディ、リース・クラーク

マスネは演奏する人によって、空気が震えるような透明な弦楽の音色に作り上げる人もいれば、管楽大きめの盛り上げ音楽にする指揮者もいると思います。「マノン」は盛り上げ音楽のほうかなと思います。踊りの正解はAプロよりはこちらの組のほうでしょう。さすが、優等生ナグディ。音楽に合わせて二人の感情がクライマックスで高まりました。女性の首を持ってサポート(というか首の時点で支えにはなっていないけど)する振りというのが、二人の今にも壊れそうな儚い関係を表しているのかなと思いました。
 

「クローマ」高田 茜、マルセリーノ・サンベ

これは結構よかったかも。世界が終わるのかと思うような爆裂的な印象を持った音楽に対して舞台には2人しかいないので、音楽負けしているようにも思えてしまいますが、高田さんは「化ける」ダンサー。圧倒的なオーラで惹きつけてきます。バレエシューズで踊る作品ですが、リフトも「マノン」と同じくらいの比率であるのでバレエシューズであることにあまり気が付きませんでした。衣装は男女ともキャミソールのワンピースのような形。
 

「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥフランチェスカ・ヘイワード、セザール・コラレス

迫力と言ったら高田さんになりますが、ヘイワードのジュリエットは可憐そのもの。
そういえばこのプログラムの中で、マクミラン振付でないけれどマクミランと似ているリフトをしている作品があったのですが、タイスだったかな・・・
 

「グラン・パ・クラシック」マリアネラ・ヌニェス、ウィリアム・ブレイスウェル

これこそまさに、「優雅」。優雅ねぇという感想を書いたことがありませんでしたが、ヌニェスさまのは本当に優雅でした。そういえばアダージオではバランス技が多かったのですが、これは「ドンキ」でも同じくナグディがバランス技をやっていました。2組で示し合わせたのでしょうか。バランス技は目の覚める技術というよりは「地味だけどすごい!!」という部類に入るでしょうか。ブレイスウェルもなんか重々しくて、衣装も黒いから余計にどっしり感。背が高いとひょろひょろしてしまいがちですが、彼は筋肉も厚くしっかり身体をコントロールできているので、そこは良いかと。