どこへゆく? 「同一労働同一賃金」の行方 | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

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 何かと評判悪く、10%も支持率を下げた安倍政権。

 その安倍政権が進める「働き方改革」の一つの目玉、「同一労働同一賃金」。そうだ、同じ仕事を同じようにしているのに正規と非正規で待遇が違うなんておかしい、その通りだ!と多くの働く人たちは思うのではないでしょうか。正規の労働者だって、仕事の内容や責任が違うからこその正規・非正規、それによって「異質労働」である以上、違う待遇であっても仕方ない、だけど、同じ仕事なら同じ賃金だよね、と思う人も多いのだと思います。

 

 ところで、厚労省のホームページでは「同一労働同一賃金の実現に向けて」というタイトルで「我が国の非正規雇用の賃金水準は欧州諸国と比べて低い状況にあり、不合理な待遇差の解消による非正規雇用労働者の待遇改善は重要な政策課題です。とうたっています(6/19現在)。

 

 この「不合理な」というマジックワードがクセモノです。つまり、「不合理な待遇差」でなければ「同一労働同一賃金」ではなくても構わないよ、と最初から言っているわけです。

 

 ヨーロッパでは、産別組合(産業別の労働組合)の力により、企業が異なっても同じ仕事で、同じ職務等級の労働者は雇用形態が異なっても同じ賃金、つまり「同一労働同一賃金」です。

 

 が、日本の安倍政権の「同一労働同一賃金」は、ちっとも「同一労働同一賃金」ではありません。「同一労働、合理的であれば別賃金」制度です。

 

 ちなみに、16年7月12日には、森・濱田松本法律事務所(弁護士含むスタッフ451名 6月現在)にて、厚生労働省や内閣官房の官僚、労働法の学者が集まって「非公式」の「勉強会」か行われたとのこと。同事務所は経産省が公募した「欧州の労働裁判の事例を研究する事業」を「約1000万円で受注」し、その「勉強会」では、非正規社員12人がボーナスや手当に不合理な差があるのは違法と日本郵便を訴えた事件の日本郵便側の代理人である弁護士も参加していたとのことです(以上、朝日5/14)。

 

 ・・・何を「研究」しているのだろう?労働者の待遇の改善を求めて?それとも、どのように「合理的な待遇差」を模索するため?

 

 「働き方改革」とか「同一労働同一賃金」とか、政府の打ち出すキャッチフレーズは、「印象操作」としては、私たちを期待させるものがあります・・・。

 

 それだけに、この夏の夕の空に溶け込んで消えてしまいそうな「同一労働同一賃金」の行方には、失望ではなく、最初からそんなつもりはなかったんでしょ!という怒りしか残りません。政府がいうところの「同一労働同一賃金」という言葉の意味が正味わかりません。これって「不合理」でしょうか?