「沖縄県の米軍北部訓練場のヘリパッド移設工事の現場で、抗議活動をしていた市民に対し、大阪府警から派遣された機動隊員が差別的な発言をした。」とのこと(朝日10/21)
『どこつかんどるんじゃ、ボケ、土人か』『黙れ、こら、シナ人』という発言がインターネットの動画サイトで拡散したとのことです。
ある機動隊員の差別・偏見が露呈したわけですが、さて、どう考えるべきでしょう? 機動隊の構造的差別? いや大阪の機動隊の問題? さらに沖縄差別の問題?
菅官房長官が「発言は許すまじきこと」と述べたということは、権力側としても「ちっ、失敗したな」と思ったということでしょう。黙ってやれよ、粛々とやれ、というところでしょう。
そもそも、差別的な発言を機動隊員がしようとしまいと、ヘリパッド移設工事自体が戦争準備であり、それを止めることを国民が現地で求めているにもかかわらず「暴力装置」としての機動隊が派遣されていること自体が問題なわけです。
そして、沖縄の基地、というのは具体的にも朝鮮半島での戦争にとって重要な拠点ということです。
この問題が「沖縄差別」というのは問題を切り縮めているだけだと思います。というか、そう問題提起することにより、自衛戦争や朝鮮有事を容認することになるのでは、と危惧します。
機動隊員の差別的発言がなくなったとしたら?もしくは、沖縄差別がなくなったとしたら? それで問題解決? そんなことはないでしょう。
機動隊が(菅官房長官が気にいるように)きわめて礼儀正しくても、そして、沖縄地域が日本の他の地域と平等に扱われ、日本各地に平等に(差別なく)軍事基地が割り振られようと、本質的な問題は解決しません。
今回の一機動隊員の差別的発言によりクローズアップされたのは、日本政府は、日本が朝鮮戦争に協力するために必死である、それに反対する国民に暴力装置を対峙させている、ということです。
私は、なんとなく平等な感じで(粛々と)、差別的発言なく、戦争体制が構築されても嬉しくありません。
偏見はいけないと思い、差別は許されないと思うなら、この、今の、「北朝鮮をえじき」とするメディア利用の誘導から自由になって、朝鮮戦争反対を声に出すべきではないでしょうか。
どこかしら「北朝鮮を殲滅する戦争はしかたない」という偏見があるのではないか、それに目をつぶり、一機動隊員の発言を取沙汰する、批判のあり方に、かえって背筋を寒くさせるものがあります。