1981年、ローリングストーンズの前座として起用されたプリンスが聴衆の罵倒により演奏さえまともにさせてもらえなかった、というのは有名なエピソードですが、いまやその名声は確立されていますし、音楽が高い評価を受けています。
映画『パープルレイン』のオープニングの、なんというかケレン味たっぷりのかっこよさにワクワクしたし、いま思えば、極めて80年代的なファッションとか「かっこいい!」と思いました。映画に出ていた、THE TIMEのモーリス・デイのライブを見に、横浜のベイサイドクラブにも行ったっけ。
プリンスといえば、革新的、という評価だと思うし、確かにそうだと思いますけど、私の中では、とても伝統的という印象も強いです。といっても、で伝統的で革新的という印象ですけれども。
ブルース、リズムアンドブルース、ゴスペル、ファンクなどのあらゆるブラックミュージックのある意味、正当な継承者として革新的であったと、それがプリンスの音楽だということだと思っています。
ギターだって、かっこいい。ジミヘンドリックスのトリビュートアルバムで「パープルハウス」(「レッドハウス」のオマージュとして)という曲ではなんともファンキーなくちゃくちゃしたプリンスらしいギターを披露しています。これ好きだなあ。ステージパーフォーマンスは、もちろん、ジェームス・ブラウンとかリトル・リチャードとかのスタイルが活かされています。
「Kiss」なんてファンキーな曲もコード進行はブルースそのものだし、ワンコードで盛り上げていくのも得意技。
しかし、プリンスが天才と言われるのは、そういう伝統を丁寧に継承しつつ、それをさらに革新的にポップに出していったところでしょう。カサンドラ・ウィルソンが、ロバートジョンソンの曲を毎回、斬新なアレンジでカバーし、独特にブラックミュージックを発展させていると思いますが、プリンスはもっとポップ。
ブラックミュージックの先輩たちへのリスペクトと共に、文化を継承し、発展させていき、それをポピュラーに展開していったプリンス。たくさんのスリルと刺激的な音楽をありがとうございます