
箱男 (新潮文庫)/安部 公房
2回目読了。
箱男に深入りすると危ない…。
とはこの小説の話の1つだけれど
同じくこの小説に深入りすると危ないのかもしれない(笑)
いやぁちょっとこれはヤヴァイですね。
無論、いい意味で…ですよ。
読めば読む程真相に近づくかと思えばまるで逆で…
しかしそれを解きたいがためにより深みにハマるという…
まるでメビウスの帯…
エッシャーのだまし絵の中に閉じ込められて…永遠に、、
そう、贋魚になって永遠と夢を彷徨うように。
(贋魚の話もこの小説の中で際立っていますね)
箱を被る事で匿名性と覗き続けるという特権を手に入れた箱男。
ある時空気銃で狙撃され肩を負傷してしまう。
治療を受けた病院で看護婦と交わした約束。
そしてその思いもよらない約束の履行に戸惑う箱男。
病院の一室では裸の看護婦とその側に自身そっくりな贋箱男。
箱を脱いだ箱男と箱を被った贋箱男と看護婦を挟んでの攻防…。
やがて発見される変死体(箱男)。
簡単に言えばそんなストーリー。雑?(笑)
オムニバス的要素も含むこの小説は箱男が書いた
とされるノートがそのまま物語になっていて、
その語り手「ぼく」があるとき違う「ぼく」になり…混乱は必至。
しかしそこはやはり安部公房。
ストーリーの展開以前に読ませる文章力(表現力)は流石です。
特にエピソード的に挿入される贋魚の話や、
少年がアングルスコープで女教師のトイレを覗く…
(実際はバレて屈辱的な仕打ちを受けるのだが)
それらの話だけでもこの小説を読むに値するかと。。
箱男とはあくまで物語を分かり易くするための表現に過ぎず、
言わんとする内容は見るもの見られるもの、覗き…覗かれるもの、
安楽死、匿名性…次から次へと流れる多くの情報。
これらは自身の部屋(箱)に閉じこもって
必至にフィギュアを相手に…といった光景だったり、
インターネットの世界も通じるものがあるかもしれない。
多くの匿名者が各々の欲望のままに覗き続ける窓…。
さて…
きっといつまで経ってもこの小説の真相…
謎解きなんて出来やしない。それをわかっていても
何故か引き寄せられるこの引力…
当分抜け出せそうにないけど、また新たな発見があったら
記事にしてみたいと思います。…?
(当分この小説を手放せそうにありません…苦笑)
