怒れる小さな茶色い犬-110813a

自慢じゃないけれど、あたしは料理が下手だ。
(パスタマシーンの幽霊の冒頭より)

クウネルに掲載の彼女のエッセイをよく読んでました。
ほとんど散髪の合間に…ですけど(笑)
でも彼女の文章というか表現とかはなかなか好みで、
したらこうゆうの(短篇集)出てるの知って買ってみた。
ざらざらとパスタマシーンの幽霊。
その殆どが ku:nel に連載されたものです。

夫々の物語も実際にありそうでなさそうで、、
でもなんかやっぱりありそうな…とか。
その辺の距離感?が心地良い。
(たまにSFちっくなのもあるけど…)
ただきっとこうゆうのは好みが分かれるだろうな。
分かり易いオチがあるわけじゃなく、
ハッピーでもアンハッピーでもない感じとか。
でもだからその分リアリティはある。
「世の中白黒じゃなくてグレイよね…」
って感じがうまく表現されてるというかね。
でもどっちかというとアンハッピーかなぁ?
だけど、どこか前向きになれる感じも残してあったりとか。

なんてことない日常にありそうなちょっとした
描写がとても心地良いし、ちょっとクセがあるけど
何故か憎めない登場人物も印象に残る。
パスタ~に登場する料理が得意でない女性がその真逆…
てきぱき料理ができる女性をパエリア女と毒づくとことか、
他にも料理にはこだわるけど容器にはこだわらないちかちゃんの話とか、
何度か登場するおかま(ゲイ?)の修三ちゃんに
コロボックルの山口さん… 数え上げればキリがない。。

自身では味わえない様な上等で甘味な生活を綴った
キラキラ物語とは真逆?に位置するような作品だけど、
やっぱあたしはこうゆうのが好きですネ。


ざらざらパスタマシーンの幽霊/川上 弘美