マーチ(K12)

「マーチ」という車名は・・・若い人たちにものすごく浸透しているんですね。知らなかったけど。
先日、ジュークを借りにいった日産レンタカーの店舗は・・・・なんだか大変なことになってた。
若い人たち・・・たくさんの大学生達に占拠されてた。
「なんだ?いったい・・・・」
店舗に入ることもできなかったので、なんだかすごく待たされたんだけど・・・次々にみんなが小さなマーチに荷物を載せて・・・しかも4人づつ乗ってく・・・いや・・・初めからミニバンでも借りればそんなに分乗しなくても・・・・

最後にセレナが準備されてる。
リーダーらしいしっかり者の男の子に事情を聞いてみると・・・
アルティメットって競技の大会が明日からあるんです。みんなで荷物を積んで、移動しなきゃいけなくて・・・え?ミニバン借りた方が安い?あ、いや、みんなが”マーチだったら運転できる。”っていうので・・・」
よくよく話を聞いていると、なんだか怖い話になってきたぞ。みんな、初心者マークをつけてる。

「みんな、車なんて持ってないんです。できるだけ家の車を運転したことがある連中にドライブさせたいんですけど・・・私以外、高速道路が初めてなんです。」
・・・・高速道路が初めてのマーチ4台+どうやらまあまあ運転ができる君がセレナなのね。

ものすごく危険な感じがして、最後の最後まで安全運転のレクチャーをしてしまった。無事に・・・帰ってきて欲しい。

嵐が去った後・・・店員さん達に話を聞くと、超大口案件だったけど、「全部がマーチ。数日間。」というオーダーに間に合わせるために近隣の店舗から新旧マーチをかき集めてきたんだそうです。お疲れ様。

さて、今回はそんな「車に興味が無い若い人たちでもその車名を知っている車」”マーチ”のお話です。
私は・・・このマーチが街を走り始めてしば~らくしても・・・トヨタのパッソと判別が付かなかったです。
というか、信じたくなかったというか・・・あまりのかっこ悪さに。
なんで先代のあの形を磨く方向でフルモデルチェンジしてくれなかったんだろう。「世界で唯一の形」の車だったのに・・・

まあ・・・ビジネスカーとしての需要にちゃんと応えたかったんでしょうねえ・・・そんなのノートにやらせておけばいいのに。

このマーチは、「海外の工場で生産された物が日本市場で販売される」形なんですよね。
タイヤも海外製でした。
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その方法を非難する人たちは・・・今の日本の製造業の現状を認識できていない人たちです。
正直、自動車業界は驚異の業界です。なにしろ、どんなに円高が苦しくても、何とかして国内の製造拠点を維持し続けられているんですから。

見てください。家電業界。
報道でも一目瞭然でしょう?
あれは「派手な崩壊の仕方」の業界で、通信機器業界なんて、もっと悲惨です。日本国内の通信機器設備投資で、日本製品なんてもう、ほぼ使われていないんです。
ひょっとしたらこのマーチは・・・現在の家電や通信業界のようなことを自動車業界に導く先駆けになってしまうのかもしれないですけどね。

ボディデザインはかっこ悪いのですが、内装も・・・まあ、日産車ですから。
笑っちゃうぐらいpoorです。ただ、他の日産車に比べると「潔いぐらいのpoor。道具として使ってやろうと思えるデザイン。」の内装です。
これで良いんじゃないですかね。「初めての乗用車」として購入される層を対象にしている車は。

悪口のように聞こえるかもしれないけど、この内装デザインって、よく考えられているんです。
なぜかぼっこり丸いドームがせり出す助手席側は・・・
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よくよく観察すると・・・
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左右ハンドル国に分けて出荷する際、メーターとエアバックシステムをただ左右に入れ替えるだけで流用できるように考えられているんです。
古くは・・・初代MR-2(AW11)で編み出された手法ですね。ま、コスト意識が高すぎて、プッシュスタートスイッチが、右ハンドルでは左側になってしまうのはご愛敬。

デザインはpoorだし、相変わらずスイッチ類も小さいけど、なんだか頑丈な感じで取り付けられているので・・・以外に長持ちするかも。このマーチ。
しかも、シートが「ヘッドレストを押しても背中が飛び出してこない」構造になりました。ついに。
がっちりしているし、サイズも男性に十分通用する物が使われています。

遠い地で「新型車を立ち上げる」大仕事をした皆さんは・・・・いろいろと思うところがあったんじゃないかと思います。このマーチに乗っていると。
「とうとう日本市場向けの車を海外で作らなければいけない状況になった。一番安いマーチだ。俺達は・・安い車を海外で作るようになって・・・じゃあ、この車にはなにをするんだ?」

「コスト管理がうるさい”初心者向けの車”をただギュウギュウと”できるだけ安く作る”」ことに汲々としてなかったと思います。このマーチに関わった人たちすべてが。

「同じぐらいの大きさの車、同じ価格帯の軽自動車」に乗ったことがある人たちなら、必ず気づく。
「海外で車を作らなければいけなくなった俺達がこのマーチにしてやれるのは・・・”しっかり走るコンパクトカー”を作ること。海外生産製だからって、”仕方が無い”という言葉がついてまわらない車に仕上げること。」

この車両は3気筒エンジン車なんだそうです。でも・・・・
ダイハツ系3気筒車とは、全然違う。あんな風に「ゴー」って音を出さないし、ゴソゴソ廻る感じもしない。驚きの3気筒エンジン。最新技術って、物理的に不利な条件も克服できるのか?
残念ながら「アイドリングストップ」機構が敏感すぎて、一時停止でもエンジンが止まっちゃうのは・・・「信号待ちでハンドブレーキを引いたらアイドリングストップ開始」とかって条件をつけて欲しかった。
まあ・・・そういう条件をつけてしまうと、初心者の人たちが戸惑うって思ったんだろうなあ。

パワーステアリングは、今どき珍しい「油圧式」です。
なんでわかったかというと・・・・ロックtoロックでフルターンさせると、油圧がついてこなかった。
あ、こんな状況、一般道路でやったら、周りにものすごく迷惑を掛けます。普通は気がつかないことです。

細いタイヤをつけて、車高が比較的高い2BOX車にありがちなフアフア感なんて全くない。しっかり路面状況を伝えてくるし、カーブでもグラッとしない。ブレーキも十分。
すごくよくできてる。海外の工場で苦労した皆さんに拍手を送ってあげたい。

まあ、もし、注文をつけるとすれば・・・・高速道路での「エンジンとアクセルの間に明らかに一枚何か物が挟まっている」感覚を何とかしてもらいたい。
一般道路ではそんなことは全く感じないんです。どうも・・・スピードが出る領域でワザとそういう風にチューニングされている節が・・・高速道路ではだんだん機嫌が悪くなります。エンジンの反応が悪くて。(たぶんエンジンそのものの問題ではない。)

次回ぐらいにトヨタパッソ/ダイハツブーンについて記事にできると思うのですが、あの同じぐらいの大きさの車と比べると・・・
私は断然こっちを採ります。
こちらのほうが、「車の運転って、楽しい。」って思わされます。
内外装デザインがねえ・・・「変な曲面」を使っていなければもっと褒めたい。あ、いや・・・なんか最近、街を走っているこのマーチを見ていると・・・白とか黒とかねずみ色じゃなければ、結構かわいいのかも。この形。ウンウン。
そう思おう。そう思うんだ。俺。心に言いきかせろ。

燃費は、16.65km/Litterでした。