我等(われら)が父母世尊は主師親(しゅ し しん)の三徳を備(そな)へて、一切の仏に擯出(ひんずい)せられたる我等を「唯我一人 能為救護(ゆいがいちにん のういくご)」と はげ(励)ませ給(たま)ふ。其(そ)の恩 大海よりも深し、其の恩 大地よりも厚し、其の恩 虚空(こくう)よりも広し。二つの眼(まなこ)を ぬ(抜)いて仏前に空の星の数 備ふとも、身の皮を剥(は)いで百千万 天井(てんじょう)にはるとも、涙を閼伽(あか)の水として千万億劫 仏前に花を備ふとも、身の肉 血を無量劫 仏前に山の如(ごと)く積み、大海の如く湛(たた)ふとも、此(こ)の仏の一分(いちぶん)の御恩を報(ほう)じ尽くしがた(難)し。
(平成新編0441・御書全集0886・正宗聖典ーーーー・昭和新定[1]0667・昭和定本[1]0470)
[文永07(1270)年(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]