久遠(くおん)より已来(このかた)、或(あるい)は鹿となり、或は熊となり、或(ある)時は鬼神(きじん)の為(ため)に食はれ給(たま)へり。此(か)くの如(ごと)き功徳(くどく)をば法華経を信じたらん衆生は是真仏子(ぜしんぶっし)とて、是(これ)実の我が子なり、此(こ)の功徳を此の人に与へんと説き給へり。是程(これほど)に思(おぼ)し食(め)したる親の釈迦仏をば、ないがし(蔑)ろに思ひなして「唯以一大事(ゆいいいちだいじ)」と説き給へる法華経を信ぜざらん人は争(いか)でか仏にな(成)るべきや。能(よ)く能く心を留(とど)めて案ずべし。
(平成新編0048・御書全集0385・正宗聖典----・昭和新定[1]0129・昭和定本[1]0046)
[建長07(1255)年"文永01(1264)年"(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]