『御講聞書(日向記)』(佐後)[古写本] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

一 妙法の事
 妙法の二字は一切衆生の色心(しきしん)の二法なり。一代説教の中に法の字の上に妙の字を置きたる経は一経も無し。涅槃経の題号にも大般(だいはつ)涅槃経と云(い)ひて大の字あれども妙の字無し。但(ただ)し釈籤(しゃくせん)一に云はく「大は只是(ただ これ)妙なり」云云。然(しか)れども大と妙とは不同なり。同じく大なれども華厳経の大方広仏華厳経と云へる題号の大と 涅槃経の大と天地雲泥(うんでい)なり。華厳経の大は無得道(む とくどう)の大なり。涅槃経の大は法華同醍醐味(だいごみ)の大なり。然れども「然涅槃尚劣(ねんねはんしょうれつ)」と云ふ時は法華経には劣れり。此(こ)の事は涅槃経に分明(ふんみょう)に法華経に劣ると説かれたり。涅槃経に云はく「法華の中の八千の声聞(しょうもん)、記別(きべつ)を受くることを得て大菓実(だい かじつ)を成(じょう)ずるが如(ごと)く、秋収冬蔵(しゅうしゅう とうぞう)して更(さら)に所作(しょさ)無きが如し」云云。此の文(もん)分明に我と法華経には劣れりと説かせ玉(たま)へり云云。
(平成新編1819~1820・御書全集0808・正宗聖典----・昭和新定[3]2876~2877・昭和定本[3]2545)
[弘安01(1278)年03月19日~弘安03(1280)年05月28日(佐後)]
[古写本・京都要法寺、戸田妙顕寺]
[※sasameyuki※]