薬王品と申すは、昔(むかし)喜見菩薩(きけんぼさつ)と申せし菩薩、日月浄明徳仏(にちがつじょうみょうとくぶつ)に法華経を習(なら)はせ給(たま)ひて、其(そ)の師の恩と申し、法華経のたうと(尊)さと申し、かん(感)にた(堪)へかねて万(よろず)の重宝を尽(つ)くさせ給ひしかども、なを(尚)心ゆかずして身に油をぬ(塗)りて千二百歳の間、当時の油にとうしみ(灯心)を入れてた(焚)くがごと(如)く身をた(焚)いて仏を供養し、後に七万二千歳が間ひぢ(臂)をともしび(灯)としてた(焚)きつ(尽)くし、法華経を御供養候(そうら)ひき。されば今(いま)法華経を後五百歳(ごごひゃくさい)の女人(にょにん)供養せば、其の功徳を一分(いちぶん)ものこ(残)さずゆづ(譲)るべし。譬(たと)へば長者の一子(いっし)に一切の財宝をゆづるがごと(如)し。
(平成新編1230・御書全集1245~1246・正宗聖典----・昭和新定[2]1831~1832・昭和定本[2]1509)
[弘安01(1278)年06月25日(佐後)]
[真跡・千葉本壽寺外五ヶ所(10%未満現存)]
[※sasameyuki※]