されば仏の滅後、正像(しょうぞう)二千年の間は煩悩(ぼんのう)の病軽(かる)かりければ、一代第一の良薬(ろうやく)の妙法蓮華経の五字をば勧(すす)めざりけるか。今(いま)末法に入(い)りぬ。人毎(ごと)に重病有り。阿弥陀・大日・釈迦等の軽薬にては治(じ)し難(がた)し。又(また)月はいみじけれども、秋にあら(非)ざれば光を惜(お)しむ。花は目出(めで)たけれども、春にあらざればさ(咲)かず。一切時(とき)による事なり。されば正像二千年の間は題目の流布(るふ)の時に当たらざるか。
(平成新編0966・御書全集1238・正宗聖典----・昭和新定[2]1454・昭和定本[2]1164)
[建治02(1276)年閏03月05日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]