八木(はちぼく)三石(こく)送り給(た)び候。今一乗妙法蓮華経の御宝前に備へ奉りて、南無妙法蓮華経と只一遍唱へまいらせ候ひ畢(おわ)んぬ。いとをしみ(最愛)の御子(みこ)を、霊山浄土(りょうぜんじょうど)へ決定無有疑(けつじょうむうぎ)と送りまいらせんがためなり。
抑(そもそも)因果のことはり(理)は華(はな)と果(このみ)との如し。千里の野の枯れたる草に、蛍火(ほたるび)の如くなる火を一つ付けぬれば、須臾(しゅゆ)に一草二草十百千万草につき、わたりても(燃)ゆれば十町二十町の草木一時にやけつきぬ。竜は一■(=清-青+帝)(てい)の水を手に入れて天に昇りぬれば三千世界に雨をふ(降)らし候。小善なれども法華経に供養しまいらせ給ひぬれば功徳此(か)くの如し。
(平成新編1363・御書全集1435・正宗聖典----・昭和新定[3]1976~1977・昭和定本[2]1639)
[弘安02(1279)年05月02日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]