次に華厳・法相・三論・倶舎・成実・律宗等の六宗の法門いかに花をさかせても、申しやすく返事すべき方は、能(よ)く能(よ)くいはせて後、南都の帰伏状を唯よみきかすべきなり。既に六宗の祖師が帰伏の状をかきて桓武天皇(かんむてんのう)に奏(そう)し奉る。仍(よ)って彼(か)の帰伏状を山門に納められぬ。其の外(ほか)内裏(だいり)にも記されたり。諸道の家々にも記し留めて今にあり。其れより已来、華厳宗等の六宗の法門、末法の今に至るまで一度も頭をさし出(い)ださず。何(なん)ぞ唯今事(こと)新しく、捨てられたる所の権教無得道の法にをい(於)て真実の思ひをなし、此(か)くの如く仰せられ候ぞや、心得られずとせむべし。
(平成新編0036~0037・御書全集0381・正宗聖典ーーーー・昭和新定[1]0114~0115・昭和定本[1]0031)
[建長07(1255)年(佐前)]
[古写本・日代筆 西山本門寺]
[※sasameyuki※]