『如来滅後五五百歳始観心本尊抄』(佐後)[真跡] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 又本門十四品の一経に序正流通有り。涌出品の半品を序分と為し、寿量品と前後の二半と此を正宗と為す、其の余は流通分なり。其の教主を論ずれば始成正覚の釈尊には非(あら)ず。所説の法門も亦(また)天地の如し。十界久遠の上に国土世間既(すで)に顕(あら)はれ一念三千殆(ほとん)ど竹膜(ちくまく)を隔(へだ)つ。又迹門並びに前四味・無量義経・涅槃経等の三説は悉(ことごと)く随他意(ずいたい)・易信易解(いしんいげ)、本門は三説の外(ほか)の難信難解・随自意なり。
 又本門に於ても序正流通有り。過去大通仏の法華経より乃至(ないし)現在の華厳経、乃至迹門十四品・涅槃経等の一代五十余年の諸経・十方三世諸仏の微塵(みじん)の経々は皆寿量の序分なり。一品二半よりの外は小乗教・邪教・未得道教(みとくどうきょう)・覆相教(ふそうきょう)と名づく。其の機を論ずれば徳薄垢重・幼稚・貧窮(びんぐ)・孤露(ころ)にして禽獣(きんじゅう)に同ずるなり。爾前・迹門の円教すら尚(なお)仏因に非ず、何(いか)に況(いわ)んや大日経等の諸小乗経をや。何に況んや華厳・真言等の七宗等の論師・人師の宗をや。与(あた)へて之を論ずれば前三教を出(い)でず、奪って之を云へば蔵通に同ず。設(たと)ひ法は甚深と称すとも未だ種熟脱(しゅじゅくだつ)を論ぜず、還って灰断(けだん)に同(どう)じ、化(け)の始終(しじゅう)無しとは是(これ)なり。譬(たと)へば王女たりと雖(いえど)も畜種(ちくしゅ)を懐妊すれば其の子尚(なお)旃陀羅(せんだら)に劣(おと)れるが如し。此等は且(しばら)く之を閣(お)く。
(平成新編0655~0656・御書全集0249・正宗聖典0156~0157・昭和新定[2]0969~0970・昭和定本[1]0714)
[文永10(1273)年04月25日(佐後)]
[真跡・中山法華経寺(100%現存)]
[※sasameyuki※]